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PC-Webzine "from DIS" (2019年)

2019年02月号

『DX Innovation Forum』 Season.2 Powered by DIS 中四国レポート

スマートシティの取り組み方と実装へ向けた課題と解決策を探る

AIやIoTといった最新テクノロジーの活用はビジネスにおいて企業が抱えるさまざまな課題を解決するだけではなく、地域が直面している課題の解決にも役立つ。そこでDX Innovation Forum Season.2では自治体が取り組むデジタルトランスフォーメーションを紹介し、その進展に向けた議論を交わすパネルディスカッションが開催された。

大都市の中心部で実証実験を実施Fukuoka Smart EAST

進行役を務めたアーキテクトグランドデザインファウンダー&チーフアーキテクトおよび益田サイバーシティ創造協議会 専務理事を務める豊崎禎久氏は、パネリストとして登壇した福岡市と香川県高松市、そして豊崎氏が携わる島根県益田市、さらにシスコシステムズが取り組む京都府、さらに福島県会津若松市において国内で最先端のスマートシティのプロジェクトが実施されていると紹介した。
まず大都市での取り組みとして福岡市の「Fukuoka Smart EAST」が紹介された。近年、福岡市ではさまざまなスマートシティ関連のプロジェクトが実施されている。例えば通信インフラとなるLPWAネットワーク「Fukuoka City LoRaWAN」を整備し、市内の人が多いエリアを広くカバーするとともに、誰もが無償で利用できる。
この通信インフラを利用したIoTサービスとして、例えば子どもの通塾見守りサービスが提供されている。このほか福岡市や福岡銀行などがそれぞれ官民で協力したキャッシュレスサービスも実施している。
福岡市 スマートイースト課長 的野浩一氏は「スマートシティの推進にはテクノロジーを活用して利便性や効率化などの価値を生み出せるイノベーションアイデアが必要。またそれを実現する場所も必要」だと説明。
そして都心から近く、交通の利便性がよい広い面積の場所の確保、民間企業の意欲を引き出すためにビジネス化できる人が集まる場所であること、行政の推進力を発揮することなどの要件を具現化したのがFukuoka Smart EASTだ。
Fukuoka Smart EASTが進められている場所は福岡市のほぼ中心地にあり、50ヘクタールとさまざまなプロジェクトを実施するのに十分な面積がある。この場所でさまざまなテーマに向けたイノベーションアイデアの実証実験が行われる計画だ。

データと地域課題の共有で課題解決スマートシティたかまつ

地方都市におけるスマートシティの取り組みとして高松市の「スマートシティたかまつ」が紹介された。スマートシティたかまつはデータの共有と産学官の多様な主体が参加する協議会における地域課題の共有によって地域課題の解決を推進することを目的とするプロジェクトだ。
このプロジェクトでユニークなのはデータ共有基盤を欧州の官民連携プロジェクトで開発・実証されたオープンソースソフトウェアを利用するIoT 共通プラットフォームである「FIWARE」(ファイウェア)で構築している点だ。
FIWAREを利用することで従来は分野ごとに縦割りで管理されていたデータを、分野や組織を横断して共有、活用できる仕組みが容易かつ低コストで実現できるメリットがある。このデータ共有基盤により、異なる複数の組織が有機的に連携したサービスの実現・提供が可能だ。その活用分野として高松市総務局参事 廣瀬一朗氏は防災、観光、福祉、交通の四つを挙げ、災害対策や観光、高齢者見守りなどの実例を紹介した。
また2017年10月に設立されたスマートシティたかまつ推進協議会での地域課題の共有や検討状況についても現在の組織体制や検討事項を説明し、スマートシティたかまつが順調に進展していることをアピールした。
高松市の取り組みについて豊崎氏は「データ共有の方向性」を問い、廣瀬氏は「現在はデータは庁内にとどまっているが、将来的にはオープン化の必要性を感じている」と答えた。

京都府との連携でプロジェクトを実施 嵐山コネクテッドツーリズム実証事業

シスコシステムズはICTベンダーと自治体が協力して進めているスマートシティ関連プロジェクトを紹介した。同社は世界40カ国、100を超えるスマートシティ関連プロジェクトを実施しており、国内でも積極的に実証実験を行っている。その中から京都府嵐山でのプロジェクトを紹介した。
2017年9月より実施されている「嵐山コネクテッドツーリズム実証事業」では京福電鉄嵐山駅および西院駅に同社のWi-Fi設備とデジタルサイネージ「Cisco Smart Signage」を設置し、同エリアであまり知られていない観光スポットを紹介することで観光客の回遊性を高めることで、人気観光スポットの混雑解消とエリア内の経済効果向上を狙う。
またインフォメーションセンターの営業時間外に観光客の問い合わせに遠隔対応するサービスも提供している。
デジタルサイネージにはカメラが搭載されており利用者の性別や年齢を推定するとともに、利用したコンテンツや言語、タッチ回数などを記録しているほか、Wi-Fiの利用を通じて観光客の足跡を追うなどして収集したビッグデータの活用によって、観光客の傾向を把握して課題解決につなげる取り組みも進めている。
シスコシステムズ 戦略ソリューション・事業開発 セールスビジネス デベロップメントマネージャ 三村雄介氏は「デジタルサイネージはコンテンツの制作やコンテンツの管理などにコストがかかるが、マネタイズしづらい。嵐山では広告を掲載しているが、今後は都市のプラットフォームの一部として災害時の情報提供や地域住民へのサービス提供などを組み合わせて新しい価値を提供する必要がある」と説明した。