PC-Webzine "from DIS" (2019年以前)
2019年10月号
地域経済活性化やサイバーセキュリティ、スマートシティといった日本の課題をテーマに、多彩なセミナーが開催された。その中の四つのセミナーを紹介しよう。
鼎談 「地域経済活性化 ~今こそ地方創生の時~」
少子高齢化や労働力不足などの「課題先進地域」である山陰地方の経済活性化について、島根県でSI事業などを行うミックの代表取締役社長 宮脇和秀氏と、鳥取県でシステム開発などを担うエッグの代表取締役 高下士良氏をパネリストに、モデレーターには新規事業創出などをサポートするフィラメントの代表取締役CEO角 勝氏を迎えて行われた鼎談。
現在のビジネス状況についてミックの宮脇氏は「大きな課題はやはり人口問題です。島根県は出生率は高いが人が都市に出ていってしまいます」と切り出す。エッグの高下氏は「以前まで米子市には社長がたくさんいましたが、今は支店長が多くなっています」と続ける。
こうした状況下では、「やはり雇われる人にとって魅力的な会社であるかどうか、面白いことができるかどうかが企業の鍵になります」とモデレーターの角氏。全国でふるさと納税システムの構築を手掛けているエッグには「応募がかなりあります」と高下氏は明かす。「やりがいを示せるかもポイントですね」と宮脇氏は加える。
地域の未来について高下氏は、「都市と同じことをしない、官民が手を合わせて山陰ならではのものを作っていくべき」と話す。宮脇氏は「異質性が大事ですね」と指摘した。
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宮脇和秀氏
ミック 代表取締役社長 -
高下士良氏
エッグ 代表取締役 -
角 勝氏
フィラメント 代表取締役CEO
パネルディスカッション 「スマートシティ創生における山陰の未来」
島根県益田市が取り組むスマートシティ事業「益田モデル」の話題を中心に、島根県 益田市長 山本浩章氏、福島県 会津若松市 企画政策部 鵜川 大氏、シスコシステムズ 三村雄介氏によってパネルディスカッションが行われた。モデレーターは、益田市のスマートシティ化に携わるアーキテクトグランドデザインの豊崎禎久氏。
厳しい財政の中、産官学の連携によってまちづくりを進めているのが益田市の特長だと同市長の山本氏は説明する。「IoTなどの実証実験を行い、河川の推移測定、インフラの維持管理、有害鳥獣対策、高齢者の見守りなどを実現させていく予定です」
全国の中でも早くからスマートシティ化に取り組んできた福島県の鵜川氏は、今年4月に開所されたICTオフィス「スマートシティAiCT」を紹介した。ICT関連企業が働きやすい魅力的なオフィス環境の整備によって、新たな人の流れや雇用の場の創出、若者の地元定着などによる地域の活力向上を目的としている。
シスコシステムズの三村氏は、京都と進めているスマートシティプロジェクトにおいて、「課題はマネタイズ」というベンダー視点の指摘も行った。
スマートシティの取り組みは短期間で完成するものではない。市民の理解を得ながら進めるべきであり、啓蒙も必要だとモデレーターは締めた。
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山本浩章氏
島根県 益田市長 -
鵜川 大氏
福島県 会津若松市
企画政策部 企画副参事 -
三村雄介氏
シスコシステムズ
東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部 -
豊崎禎久氏
アーキテクトグランドデザイン ファウンダー&チーフアーキテクト