PC-Webzine "from DIS" (2022年)
2022年10月号
自治体情報システムの標準化に関する法律「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が2021年9月1日より施行された。国からの補助金援助の完了時期は2025年度を予定しており、従来は一律規定されていなかった情報システムを国の指定した標準準拠システムへと急速に移行していく必要がある。この移行を進める中でも、氏名の旧漢字など文字入力ソフトに登録されていない「外字」を検索し、登録を行う文字同定作業は負担が大きい。この文字同定作業において自治体での引き合いが増え始めているのが、アクシスが提供する外字同定支援サービス「AI-さらば外字くん」だ。
会津地区の自治体のIT化を支援
福島県喜多方市に拠点を置くアクシスは、地域活性化と優秀な人材のUターン促進を理念として、親会社であるラック(旧A&Iシステム)、喜多方市役所、会津喜多方商工会議所の三者合意の元、ラックと地元企業の出資により1989年に創業された。2001年には喜多方市にデータセンターを竣工し、基幹業務システムの保守・運用サービスを開始。2020年にラックが所有していたデータセンターを譲受してからは、地域のデータセンター事業会社として活動を行ってきた。アクシスで代表取締役社長を務める切上重年氏は、同社の企業理念をこう語る。「当社は、地域密着型の地域ICTインフラ企業として地域社会のIT化を支援していくという企業理念のもと、経営を続けてきました。自治体のさまざまな情報システムの運用や、システム運用のサポートを主軸としてサービスを提案しています」
安い・早い・高品質な文字同定
そんなアクシスが、自治体において喫緊の共通課題である文字同定の課題解決に向けて提供しているのが「AI-さらば外字くん」だ。アクシス 事業推進部 営業課 渡部恵寿氏は同製品の概要をこう話す。「AI-さらば外字くんでは、自治体側で管理する外字に関して、AIによる画像認識技術で同定先の候補を選定します。利用の流れとしては、依頼をいただいた後、お客さまが所有している外字のファイルを当社が受け取ります。今現在、Windowsで外字を扱う標準的なフォーマットに『EUDC.TTE』という形式があります。このEUDC.TTEなどを読み込んで確率の高い10文字を選定し、その結果のPDFやCSVをメールにて送付します」
同社 事業推進部 公共サービス 1課 塚田将太氏は本製品の導入メリットとして「安い」「早い」「高品質」の三つを挙げる。続けて、渡部氏が「従来80日程度かかる同定作業を、AI-さらば外字くんは10日程度で候補を絞り込み、大幅な時短を実現します。国で同定可能とされている80%の外字のうちの90%を、本サービスで提供する10文字に含んでいます(現在テスト段階)。今後は、変体仮名や人名の表記などで、細かな字形の差異を使い分ける活用を想定した『IPAmj明朝フォント』からも外れると予想される文字検索機能の追加を進めます」と補足する。
最後に切上氏は、同社の販売戦略をこう語る。「国内には1,700以上の自治体がありますが、自治体の情報システムにおいては国が主導で仕様を決定した標準システムや、政府が推奨しているネットワーク内のサーバーでシステムを運用する方向へと転換しています。この動きを受け、当社は、AI-さらば外字くんをはじめ標準化の対象とされていないシステムの事業に今後一層力を入れていきます。また、今までは会津地区の近隣に絞ってサービスを提供していましたが、福島県全体や全国などマーケットの拡大も視野に入れてビジネスを展開していく予定です。当社のお客さまの悩みを深掘りして支援範囲を広げ、お客さまの対象地域を拡大するという二面で、事業の構造改革を進めています」
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代表取締役社長
切上 重年 氏 -
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事業推進部 営業課
渡部 恵寿 氏 -
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事業推進部 公共サービス 1課
塚田 将太 氏
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