PC-Webzine "from DIS" (2020年)

ITの全面的な活用を促す「i-Construction」が推進されている建設業界に対して、施工情報共有システム「WIZDOM」の提供でシェアを拡大させているのがアウトソーシングテクノロジーだ。販売パートナーの力を借りて、さらなるシェア獲得に挑む。

製造業におけるCADの設計支援から、企業向けのネットワークやシステム構築などを請け負うアウトソーシングテクノロジーは、ここ数年で急成長を果たしている技術者派遣企業だ。2015年からは先端技術を駆使したロボティクス事業に取り組むなど、新たな市場にも積極的に乗り出している。そのアウトソーシングテクノロジーが、従来から建設業界向けに提供してきたのが、データベース型の施工情報共有システム「WIZDOM」（ウィズダム）だ。

「建設業界ではファイルサーバーを利用して必要な情報を管理しているケースがまだ多いのですが、ファイルサーバーから各クライアントデバイスにダウンロードした情報をそのまま使い続けて、ファイルサーバー上のデータが更新されないというケースが多々ありました。その場合、最新のデータが関係者間で共有できなくなってしまう問題が生じます。そうした問題を解決するのがWIZDOMです」とソリューションサービス事業本部 ソリューション技術部の石井 清氏は説明する。

WIZDOMは施工情報の共有に特化したシステムだ。WIZDOMの情報共有サーバーにデータを保存すると、各クライアントデバイス上でもデータが自動的に同期される仕組みを構築できる。つまり作成したり修正したりしたデータを毎回手動でサーバーにアップロードしなくても、常に最新のデータが各クライアントで利用できるようになる。ソリューションサービス事業本部 ソリューション技術部の松丸正法氏は、「品質管理データや安全管理データなど、建設現場のさまざまなニーズに応じたデータ管理を可能にします」と魅力を話す。

国土交通省や農林水産省、日本下水道事業団への提出書類などで利用するCALS対応データも、変換プログラムを使用すればWIZDOMの情報共有サーバーに取り込める。社内のデータベースで管理しているデータも、ODBC（Open Database Connectivity）経由で取り込めるなど、WIZDOMは建設業界で必要とされるデータの幅広い情報共有を可能にしている。

WIZDOMは発売して15年が経過する中で、業界の変化に応じて逐次アップデートを実施してきた。最新の取り組みとしては、建設キャリアアップシステム（CCUS）への対応がある。CCUSは、建設業界全体で技能者一人ひとりの技能と経験を評価してキャリアを育てやすくする仕組みだ。技能者のキャリアアップとともに、事業者側にとっても適切な雇用を可能にする取り組みとなる。このCCUSに対してWIZDOMは、CCUSが提供するデータへのアクセスの認可を受けているのだ。「建設業振興基金のデータベースにアクセスできるため、技術者に関連したさまざまなデータ連携と管理の効率化が実現します」（石井氏）

クラウドサービスの利用が進展する中で、WIZDOMで扱うデータの保存場所をクラウドサービス上に移行したいというニーズも増えてきている。そこでWIZDOMは、クラウドストレージサービスの「box」との連携も実現させた。「建設現場では工事写真なども含めて膨大なデータが発生します。そうしたデータの保存先としてクラウドストレージサービスであるboxを利用していただくことで、コストの大幅な低減が可能になります。工事写真においては、当社が提供する工事写真管理ソフト『写真の達人』とWIZDOMの連携も実現させています」（松丸氏）

WIZDOMはすでに大手ゼネコンなどで導入が進んでいるが、「各地域のお客さまへの訴求はまだまだ足りていません。販売パートナーの皆さまとともに未開拓の中小規模の建設事業者への販売を拡大させていきたいですね」と、石井氏と松丸氏は声をそろえる。