PC-Webzine "from DIS" (2020年)

モバイルワークの普及などでセキュリティ意識が高まる中、シンクライアントソリューションの導入も増加している。この機に乗じてシンクライアント化の提案に注力しているのが、横浜に本社を置くファムだ。メーカーを問わず、さまざまなPCをシンクライアント化できる強みを武器に、地銀、官公庁から一般企業まで攻勢をかける。

機械式立体駐車場の保守・メンテナンスや産業機器の営業・設計などの事業で顧客からの高い信頼を勝ち得、12年程前からIT事業部を発足させてITソリューションを提供してきたファムは、顧客の期待や要望に応える「クイックアンサー・クイックアクション」をモットーとして、製品やサービスの提供に磨きをかけてきた。

そのファムが現在、IT事業で力を入れているのが、シンクライアントソリューションの提供だ。IDC Japanの調査などでもシンクライアント市場の堅実な成長が予測されている。そうした中で、Windows 10 IoT Enterpriseを利用したシンクライアントソリューション「Nexterm」の提案で、ファムはシンクライアントニーズに応えている。

Nextermは、シンクライアント化に必要なWindows 10 IoT Enterpriseのカスタマイズからキッティング、そしてシンクライアントデバイスで使用するアプリケーションの制御を実現する「Fammランチャー」などを一元的に提供するサービスだ。その特長について、取締役 IoTソリューション部長の小原孝嗣氏は次のようにアピールする。

「当社はWindows 10 IoT Enterpriseを扱うOEMライセンスをマイクロソフトから取得しているのが最大の強みです。このライセンス契約書の合意にはいくつかの壁があり、断念されるベンダーが少なくないのです。当社がシンクライアントソリューション市場において5万台以上の導入実績を誇るのも、Windows 10 IoT Enterpriseを扱えることが大きな理由です」

Windows 10 IoT EnterpriseのOEMライセンスを所有しつつ、ハードウェアメーカーではないこともファムがシンクライアントベンダーとして選ばれる理由の一つ。特定のメーカーに限定されず、さまざまなメーカーのPCをシンクライアント化できるからだ。開発営業部 IoTソリューション推進室 室長の石井康宏氏は次のように語る。

「シンクライアントのベースとなるデバイスはどのメーカーの製品でも大丈夫です。お客さまのニーズに応じたデバイスをシンクライアント化して提供できます」

ファムはシンクライアント化したあとのデバイスの保守も請け負っている。「修理後に再度キッティングの作業などが発生するのですが、そうした作業も含めてワンストップでシンクライアントデバイスの保守を承ります」（石井氏）

ファムが提供するシンクライアントソリューション Nextermは、前記したようにすでにさまざまなユーザーに導入されている。「北は青森から南は九州まで、全国で利用されています。特にセキュリティ意識が高い金融機関をはじめ、官公庁や学校などでも導入されており、これからは働き方改革などの影響で一般企業にも提案を加速させていきます」（小原氏）

シンクライアントの導入がはじめてというユーザーもまだまだ少なくないだろう。そうしたユーザーに対しては、デバイスの選定から仕様の決定までの一括サポートも提供している。「当社はこれまでにも多くのシンクライアント案件の導入実績があるため、セキュリティを重視するユーザーから高い信頼を得ています。そうした実績やノウハウをもとに最適なデバイス選定から設定、運用までをサポートします」（石井氏）

多様なシンクライアント要件にもファムは対応可能だ。「あまりにもセキュリティでがんじがらめにしては、PCの使い勝手が悪くなり非効率な業務環境になってしまうリスクもあります。例えば、ネットワークに接続できない状況では作業ができないとなると、大きな問題です。そこで、ネットワークが切れている場合はデバイスにデータを保存できるような柔軟なシンクライアント環境の構築を提案することも可能です」（小原氏）

こうしたシンクライアントソリューションの提供に加えて、ファムはWindows 10の移行サービス（マスター作成、量産展開）も用意している。まだWindows 10への移行が完了していないユーザーに対して、シンクライアント化も含めた提案で早期の移行を促していくという。