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DISグループ企業トップに聞く「2012年の課題と展望」@ |
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サービス品質を向上しながら低コスト実現 |
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ディーアイエス物流 太田 光俊社長 |
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ディーアイエス物流(以下、物流)は、昨年10月に関東騎西センター(埼玉県加須市西ノ谷)を開設して関東首都圏市場における出荷量拡大に対応。さらにはカスタマイズセンターを強化して仕入先・顧客双方へのサービスを徹底するなど、厳しい市場環境下にあっても明日に向けた物流対策を着々と実現してDISグループの物流を支えている。 連載シリーズ「DISグループ企業トップに聞く2012年の課題と展望」の第一弾として、物流の太田光俊社長に登場してもらった。 |
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ローコストオペレーションの追求、サービス品質の向上、人材育成 |
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周知のように商品の多品種少量化と単価下落はとどまることなく、物流をめぐる環境も厳しくなる一方です。2008年4月を基点に2011年4月までの3ヵ年の推移をみると、DISグループが扱う商品の平均単価は20%強下落しているにも関わらず、ご承知の通りDISグループの売上高は確実に拡大しています。しかし総出荷量自体は143%と著増しています。つまり売上増をはるかに超える出荷増とアイテムの変化、加えて商流・業態の変遷が最近の特徴で、この現実に対処すべくDISグループとして今後の物流をどのように進化させていくかが大きなテーマとなっています。
こういった状況下で、「ローコストオペレーションの追求、サービス品質の向上、人材育成」―これが当社の今年の三大重点施策です。ローコストオペレーションの追求については、荷役の効率化、保管能力の強化、出荷方法の工夫による低運賃の追求という3つの施策によって実現します。まず荷役の効率化については、システム強化による入出荷能力の向上と、合理的かつ効果的な料金を絶えず追求しています。また保管能力の強化については、物流センターの拡充による強化策に取り組んでおり、昨秋の関東騎西センターの開設もその一環です。
ローコストオペレーションと並ぶ物流事業の大きなテーマであるサービス品質の向上については、DIS本体の販売推進部門や各営業部隊との情報共有を強化し、積極的に有効情報を発信するなどグループ連携強化に適宜改善提案を行っています。当社内での誤出荷の撲滅と運送事故の低減は言うまでもありません。
人材育成については、ISOマネジメントシステムを活用して育成効果を高めています。具体的には内部監査体制や目標必達システムを活用し、力量評価と連動させるとともに部署間を越えたクロスオーバーミーティングを導入するなど、人材育成に向けたさまざまな取り組みが効果を発揮しています。もちろん改善提案制度や安全・5Sの徹底など、これまで当社の成長を支えてきた施策については当然のことながら継続し徹底します。 |
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供給側と需要側との相反する要求を満たす |
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ローコストオペレーションと品質向上を両立する最大のポイントは、「物流付加価値を追求する」ことです。物流における付加価値とは、供給側と需要側との間で相反する要求を満たすことであり、ここに物流の最大の価値と魅力があると考えています。
商品を迅速・確実に低コストで届けるという要望そのものは、供給側も需要側も同じです。しかし生産時期や生産量、生産地など供給側には固有の事情があります。さらにパッケージング、組み立て、組み合わせ、日付管理、品質検査、返品・廃棄処理、顧客固有条件への対応などに至っては、需要側の要求にすべて供給側が対応することは難しい点です。
この点を可能とすることが、物流の大きな役割なのです。実際に商品が出入りする現場のメリットを活かしながら、パッケージング、組み立て、組み合わせ、日付管理、品質検査、返品処理・廃棄、顧客固有条件への対応などを物流がカバーすることによって、供給側と需要側の相反する要求を満たすことができます。 |
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「カスタマイズセンター」を充実・強化 |
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このような「物流付加価値」を実現するための基盤として関東センター内に設置しているのが、「DISカスタマイズセンター」です。供給側、需要側双方から高い評価を得ており、今年はさらに充実・強化していく方針です。
DISカスタマイズセンターでは、パソコンをはじめとするIT関連商品の出荷前検査や組み立て、要望に応じたソフト・ハードの組み込み、品質検査などを実施します。例えばメーカーさんが自社製品にお客様の要望に合うモデルをお持ちでない場合など、メーカーさんの製品をカスタマイズセンターでお客様仕様にアレンジします。大量生産を基本とするメーカーさんの生産ラインでは対応しにくい仕様などにも迅速に対応して出荷できるなど、供給側、需要側双方の要望をかなえることができます。
最近の日本市場では外資系PCメーカーさんの躍進が目立ちます。これら外資系メーカーさんは基本的に自社物流を持たないケースが多く、他社の物流業務に委託するか、顧客への直販スタイルが一般的です。DISカスタマイズセンターではDISの販売推進部門と連携をとり、メーカーさん及びお客様双方の要望を聞きながら、商品の全量チェックやカスタマイズその他の物流加工作業を行います。メーカーさんにとってはカスタマイズへの柔軟な対応が可能になり、リードタイムが短縮しサービスレベルが向上します。
お蔭様で、DISカスタマイズセンターの存在が知られることと並行してカバーする分野も増える一方です。最近はDISグループが推進するWiMAX事業との連携が注目されています。大容量高速モバイル通信の主流としてWiMAXが浸透するに連れて、WiMAXユーザーからさまざまな要望が寄せられます。DISカスタマイズセンターでは、WiMAXの契約処理に加えて、必要となるパソコンや通信機器およびその電話サポートまで、すべて一括して提供することによってWiMAXユーザーの声に応えています。 |
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全国物流センターの再編も視野に |
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さてこの3年間で43%増という出荷増に対応すべく取り組んでいるのが、物流拠点の見直しです。DISグループは現在、北海道から沖縄まで全国14カ所に物流センターを配備しています(別図参照)。昨年10月に追加した「関東騎西センター」は、関東首都圏市場の荷量拡大に対処すべく、既存の関東第1センター、第2センター、第3センターに次ぐ第4の関東センターとして開設しました。
これで関東地区は千葉を含めて計5センターによる物流体制となりますが、それぞれのセンターにおいては基本的な役割分担を行っています。千葉センターはリテール中心です。関東第1センターは受発注商品から多品種、小物から大物まで扱うマルチセンターであり、第2センターは大物商品中心、第3センターはDISカスタマイズセンターを核とした付加価値対応です。そして今回の騎西センターは、コンシューマ系以外のビジネス需要中心となっています。これらの役割分担は固定化したものではなく、環境に応じて柔軟に変化しています。 |
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DISグループ全体の戦略と常に連携 |
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物流センターは、出荷増に応じてただ拡大すれば良いというものではありません。今後の商品の動向やビジネス環境の変化を予測しながら、増設や再編を考えていく必要があります。昨年は関東地区における出荷増への対応が緊急の課題であったことは事実ですが、神戸センターを中核とする関西地区もすでに能力の限界に近い状況です。今後は関東地区と関西地区をはじめとする全国の需要をトータルで考えながらの構想が、さらに重要になります。
物流拠点の再編も、適正在庫の判断も、配送経路の見直しも、配送の効率化も、梱包の多様化なども、当社単独で成し得るものではなく、DISグループ全体としての戦略の下に推進する必要があります。品質を下げずにいかにコストを下げるかという「ロジスティクスの永遠のテーマ」についても、物流だけを考えるのではなく視野を広く捉えることから解決法が見えてきます。DISカスタマイズセンターによる物流付加価値の追求なども、DISグループならではの成果であり強みです。
当社は冒頭に述べた施策を中核とした事業展開によって、DISグループの強みを更に発揮させる物流を目指します。 |
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▲カスタマイズセンター |