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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2012年7月号-
オンラインとオフラインの融合を目指す
DISグループ企業トップに聞く「2012年の課題と展望」D
DISグループ企業「ZOA」 長嶋 豊社長
DISグループ企業「ZOA」
長嶋 豊社長
DISグループの中で25店舗を有して小売事業を展開するZOAは、昨年度は新規出店することなく売上増を達成するなど、厳しさが続く小売環境の中で同社のオリジナル戦略が注目を集めています。「市場全体が縮小する中で小売事業を伸ばすには従来戦略では通用しない」と語る長嶋豊社長に、前年度の総括と今年度に賭ける意欲と戦略についてお聞きしました。
 
既存店で売上増を達成
世界規模で悪化する経済環境の中、個人消費は縮小の一途を辿り、IT関連商品の単価下落傾向と相まって小売ビジネスには厳しい環境が続いています。この環境の中でいかに成長するのか、企業にとっては本当の力が試される時でもあり、ビジネスチャンスでもあると考えています。

おかげ様で弊社の昨年度売上は対前年を上回ることができました。単価下落が大きいため、さすがに利益増とまではいかなかったのですが、縮小する市場の中で新規に出店することなく売上面で前年を超えた意味は小さくないと感じています。

小売店はまずお客様に来店していただかなくてはなりません。そして来店していただいたお客様に楽しく買い物をしていただいてまた来たいと感じていただけるような店舗作り、品揃えが必要です。では具体的にどのような店舗作りが良いのか、品揃えが良いのか、これが大きな問題です。
 
まず実践することが店舗の魅力につながる
弊社は昨年度中に全店舗のLED化を実現しました。省電力・長寿命のLEDが今後の照明の主力になることは言うまでもなく、弊社の取り扱い商品の中でも急成長を遂げています。弊社は海外メーカーとの協業によってプライベートブランドを持つなど、LEDビジネスについてもいち早い対応を行っていますが、お客様にLEDの良さを実感していただくためにも、店舗の照明をすべてLEDに置き換えました。

省電力ということで今やブームの感があるLED照明ですが、実は照明の概念そのものを変革するところに大きな意味があります。店舗全体を明るくする従来の照明スタイルを脱却して、「多灯分散、適時適照」という効果的な照明に移行することで、照明にメリハリが生じて今までにない店舗作りが可能となります。商品は輝き、冷光なので色褪せもなく、全ての照明をLED化することによる省電力効果は言うまでもありません。

昨年12月から今年3月にかけて全店舗のLED化を実施した際、移行工事はすべて自分達で行いました。ランプをLEDに置き換える作業は簡単で、この簡単さがLEDの良さでもあります。約1万個以上のLEDランプを使って全店舗をLED化したことで、お客様からはLEDの効果が実感できると好評です。

LEDほど一般的ではありませんが、弊社ならではのシステム展示として評価の高いのが充電システムです。昨年夏の計画停電による影響は甚大で、3時間とはいえ店舗を閉めるわけにはいきません。そこで太陽光発電や充電装置を組み合わせて3時間分の電力を何とか確保したのですが、この停電対策にお客様の関心が極めて高いことがわかりました。
 
▲人気のオリジナル蓄電システム
 
そこで事務所や一般家庭でも導入できるレベルの太陽光発電装置や充電装置を店頭で提案したところ、大きな反響がありました。企業において停電による最大のデメリットは、多くのデジタル機器が使えなくなることです。ノートPCなどバッテリーを常備した機器もありますが、ネットワーク機器やプリンタをはじめ使えない機器の方がはるかに多い。簡単な発電装置や充電装置があれば問題は解決するのですが、多くの一般ユーザーにとっては未知の分野です。価格の目安も販売する店舗も見当がつかないことがほとんどで、充電装置を展示販売しているITショップは初めて見たということです。先ほどのLEDと同様、まず弊社が実践することが店舗の魅力につながり、これがお客様の役に立ち、販売促進につながったということです。

弊社のお客様は、ビギナーからIT機器に詳しいベテランユーザーまで幅広いことが特徴で、組立PCやパーツをはじめとするマニア向け商品もよく売れます。だからビギナーや一般ユーザー向け商品に加えて、ベテランユーザーの期待に応える商品の品揃えも期待されますが、発電/充電システムはこれらベテランユーザーからも大きな関心を集めました。
 
会員制サービス「ZOA倶楽部」が好評
LEDや充電装置はほんの一例ですが、店舗の魅力を高めるには創意・工夫が不可欠で、それも時代環境に見合ったものでなくてはなりません。IT商品販売業界はここ数年で大きな変化を遂げており、市場が縮小する以上にプレイヤー(販売店)の数が減り続けています。この環境下で弊社がさらなる成長を遂げるにはどうすれば良いのか。

価格はもちろん重要です。価格COMなどで誰にも簡単に市場最低価格がわかる時代に、勝負できない価格帯では論外です。しかし価格勝負だけで生き残れないこともまた事実です。

弊社の強みは、実店舗を持ってお客様が安心できるサービス&サポートを行うことです。そこでこの強みをさらに発揮すべく、会員制サービス「ZOA倶楽部」を1年半前にスタートしました。会費は月300円で、会員になるとさまざまな特典があります。

例えば会員がサポートを申し込むと、あらゆる実サービスを1件千円で受けることができます。また会員に対するPCレンタルでは、1台につき月1980円からという破格の価格でレンタルできます。このPCレンタルは転勤が多い人々などに人気が高く、回線はWiMAXを利用することで全国いずれの都市に移動してもインターネット環境が手軽に利用できます。大容量高速モバイル通信網としてのWiMAXの威力が十二分に発揮される活用法だということで、WiMAXの契約数も増えています。

「ZOA倶楽部」の会員は今年3月末に1万5千人を突破して、今年度末には3万人を突破すると予想されます。会員になるということはリピーターになるというお客様の意思表示であり、リピーター比率が多い弊社店舗の特徴が如実に表れています。店舗に何らかの魅力を感じていただけるからこその加入ですので、有難いことです。

「ZOA倶楽部」は会員になっていただいた方々に最大限のサービスを提供することが目的ですので、サービスの内容についてはどんどん進化させています。最近のヒットが「自炊セット」のレンタルです。高性能スキャナや断裁機をセットにしてお貸しするもので、手持ちの書籍や資料のデジタル化需要が高まっていることを感じます。またVHSテープのダビング機レンタルも引く手あまたです。一度使うためだけに購入するには機器が高価で、業者に依頼してもコスト高というサービス分野は意外に多いのです。ユーザーの立場に立って考えれば、必要とされるサービスはまだまだ多いように思います。

大学生の間で人気の高いのが「東京セット」です。パソコンとWiMAXをセットにしたオールインワンパッケージで、東京の大学に入学が決まった子供に買い与える親が増えています。東京に到着したらその場でインターネット環境が使える即時性に加えて、帰省の際などでも持ち運んでそのまま使える便利さが受けています。東京は秋葉原のZOAでサポートを受けられるところに安心感があるようです。
 
「OtoO」によって新たな飛躍を目指す
さて今年度の重点施策は「OtoO」つまりオンラインとオフラインの融合です。弊社の言うオンラインとは、ネットショップに限定するものではなく、お客様とラインを通じて密接につながっているという意味です。

弊社は実店舗に加えてネットショップも運営しています。目の前でサービスが受けられるという実店舗のメリットに対して、人手を介さない低コストオペレーションがネットショップのメリットであると一般的には言われていますが、現実はそのように単純なものではありません。

ネットショップでの購入は、必要な商品がはっきりしているケースがほとんどです。最近は配送も速くなり送料も低下していますので、商品が決まっている場合はネットショップが有利です。

これに対して実店舗は、人間による実サービスを実施できることが大きなメリットですが、サービスを必要としないベテランユーザーにとっては意味を持ちません。だからベテランユーザーの多くがネットショップに流れているのですが、「ZOA倶楽部」のようにサービス内容が充実していれば話は違ってきます。

ITに詳しい学生でも、acerなどコストパフォーマンスの高いPCを組み合わせることで、大学が指定する組み合わせに勝るとも劣らない性能を低コストで入手できるのは、店頭での担当員のアドバイスがあってこそだと思います。何といってもアフターサポートがしっかりしているので安心です。

ネットショップも大手による寡占化が進行する中、弊社のネットショップには実店舗と物流倉庫という大きな支えがあります。ネットショップは市場の動向をリアルに把握することができますが、それはあくまでもモノ販売という側面です。弊社はモノを販売するだけでなく、サービスを含む利便性を提供します。モノ販売による統計だけでは欠落するさまざまな要素を加味してこそ、本当のお客様の姿が見えてきます。

オンラインとオフラインの融合、つまり「OtoO」が今年の大きな目標であり戦略です。OtoO推進に向けたインフラの整備は完了しました。今年度は弊社にとって新たな飛躍の年になると信じています。
 
▲多灯分散・適時適照
 
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