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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2011年12月号-
新たな進化を見せた「DISわぁるどin 岡山」従来の2倍強にあたる約3,000人が来場
DISわぁるど in 岡山
「さまざまな展示や講演の中から、明日のIT の姿が見える」― ダイワボウ情報システム(DIS)が10 月27、28の両日、コンベックス岡山で開催した「DISわぁるど in 岡山」は地元企業を含む125社が出展、来場者数も従来の「わぁるど」を2倍強上回る3,000人に迫るなど大盛況だった。「DIS わぁるど」は最新のITトレンドを体感できる場としてすでに定着した感があるが、今回は個々の展示や講演の内容全体が有機的に結び合い、今後のITの方向性を来場者に予感させるなど展示会としての新たな進化を見せた。
 
個々のブースが結び合い明日のITの姿を見せる
クラウド、仮想化、4G、スマートフォンなど最近のITビジネスに不可欠となった要素について、各専門企業のブースで最新技術や製品を個別にアピールするというスタイルは従来と同じだが、これら個々のブースの展示が全体として有機的に結び合って新たなITの姿を感じさせるという意味では、今回の「DISわぁるどin岡山」はまさに画期的なITフェアとなった。これらの要素はそれぞれがお互いに不可欠な要素として深く絡み合うだけに、この傾向は当然と言えば当然だが、今まで実現しなかっただけにその意義は大きい。

まずクラウドについては、「クラウドとは何か、クラウドによって何が変わるか」という啓蒙の時代は過ぎ、各社の展示においてもクラウドへの認識が一巡したことを感じさせる。コスト効率、安全性、BCPなどさまざまな要素を勘案した上で、ではどのようにクラウドを利用するかという企業の判断に直結するアピールが今回の特徴だった。

クラウドを利用するユーザー側の端末については、PC、タブレット・スレート端末、スマートフォンなど選択肢は多いが、誰もが手軽に携帯して利用できるという点ではタブレット・スレートPCやスマートフォンへの期待が高いことは周知の通りだ。しかしスマートフォンをはじめとする超小型端末への人気が高まる風潮に対して、端末の絶対能力を考えるとノートPCとの中間的な端末ジャンルが必要だと主張するのがインテルだ。

PCのCPUでは絶対的シェアを持ちながらスマートフォン用CPUでは今ひとつ主導権を握れないインテルが、両者の中間的なジャンルとして提唱するUltrabook。今回の「わぁるど」でインテルがUltrabookを強くアピールし、これにかける同社の本気度が誰の目にも明らかになった。依然圧倒的多数を占めるPCユーザーにとっては現在のWindowsマシンの延長線上にある超薄型軽量のモバイルPCを歓迎していることは事実で、インテルのUltrabookには現在の主流ITの延長線上にあるというアドバンテージがある。とはいえスマートフォンの急成長は誰の目にも疑いはなく、最新CPUの技術成果を差し置いてインテルが最重要戦略としてUltrabookをアピールする波及効果は日増しに拡大している。

  日本マイクロソフト
 
メーカーが牽引した従来のITに大きな変化
今やスレート端末の専門メーカーとしても知られるONKYOも、WindowsとAndroidの両機種を商品化している。現在の販売状況については「Windows機種とAndroid機種との割合は9対1」(オンキヨートレーディング)とのことで、モバイル系OSについては各種雑誌などで喧伝される内容と現実ユーザーとの間にはかなりのギャップがある様子だ。

世界の主流PCメーカーとして日本でもブランド力が定着したacerも、今回はスレートPC主力の展示で「スマホより高性能なのに低価格なのはなぜでしょう?」という挑戦的なキャッチフレーズが印象的だ。10.1インチ液晶ディスプレイでデュアルCPU搭載のスレートPCが39,800円という価格は確かに魅力的で、最近のスマートフォン主力機種と比較すると価格面での優位性は明らかだ。スレートPCとスマートフォンとでは商品ジャンルが違うので単純な比較はできないが、ビジネスに活用するモバイル端末需要という面ではスマートフォンとスレートPCとが競合関係にあることも事実だ。しかし画面サイズやOSの違いが今後どのような方向性の違いとなってくるのか、今回の来場者の反応も今後のトレンドの重要な要素となるに違いない。

レノボは今回、ビジネス系ノートPCの展示を主力とした。IBMからノートPC事業を引き継いだレノボに対して、多くのユーザーがまだ明確なブランドイメージを持ち得ない中、レノボ・ジャパンは元サッカー日本代表の中田英寿をマスコットキャラクターとして「能力と信頼と実績」を高らかにアピールした。つまりIBM時代のブランドイメージを今後も踏襲するという決意表明であり、このアピールによってレノボはIBMを規範とするブランドイメージを社内外に再確認したと言える。

昨年末にスレートPCを投入してこの市場に参入したマウスコンピューターも、まずはWi ndows搭載機種からの展開である。現実のビジネス需要を考慮するとWindows搭載は当然の戦略ではあったが、スレートPCにおけるWindows作動がやや重いことは事実であり、引き続きAndroid搭載機種の発売も予定している。インテルが提唱するUltrabookとも併せて、スレートPCにおけるOSの覇権争いが今後のITの方向性に大きな影響を与えることは必然で、これは来場者の大きな関心事でもある。ただハードメーカーとしてもこの流れを今ひとつ読みきれないというのが実情で、各OSに対応する機種を品揃えせざるを得ない。搭載OSの問題を含め、スレートやスマートフォンの今後の動向についてはユーザーに依存する面が大きく、メーカーが牽引してきたこれまでのITとは大きな変化が生じている。

ONKYO レノボ acer
 
新たなネットワークが2015年にブレークする
日本Androidの会会長の丸山不二夫氏は、今回の基調講演「今なぜ、Androidなのか?」の中で「GoogleやAmazonに代表されるIT関連各社は、クラウドとクラウドデバイスを一緒にして新たなネットワークの構築に取り組んでおり、2015年にはそれが大きな成果となって爆発する」と予言したが、その兆候を今回の展示会で随所に感じることができた。

基調講演 丸山 不二夫氏
クラウドや無線環境の普及は、小さなデバイスに至るまで変化の渦に巻き込んでいる。読み取りデバイスを例にとっても、RFIDの話題性に比較して過去のデバイスという印象の強かったバーコードリーダーだが、ここにきて力強い復権を遂げている。「Wi-Fiをはじめとする無線環境やスマートフォンが一般化したことによって、読み取りデバイスだけ購入すれば誰でも簡単にバーコードが利用できる環境が整ってきた」(ウェルコムデザイン)ことが大きな理由だ。RFIDはシステム絡みで導入されるケースがほとんどで、トータルコストは高額になる。しかし企業内にネットワーク環境が整備された今、低価格のリーダーさえ購入すればすぐに活用できるバーコードの利便性が見直されている。トレーサビリティーをはじめとするRFIDならではの用途はもちろんあるわけだが、まずRFIDありきという一時の熱狂は影を潜めた。ユーザーの目的にあったネットワークとデバイスを選択するという基本に立ち返り、本当に必要なネットワークとは何か、ネットワークデバイスは何かを求める姿勢が最近の大きな特徴である。ちなみに「DIS わぁるど」で来場者に配布する名刺ケースに添付される認識タグも、RFIDから今回はバーコードへと変化していた。
 
震災後に本格化したバックアップ需要
今年3月11日の東日本大震災の経験を経て、最も大きな関心を集めるようになったのがBCP(事業継続計画)であり、今回の「わぁるど」にも色濃く反映されていた。BCPそのものについては、企業が拠って立つ事業推進の基本的な考え方であり、ITに限定されるものではない。しかし事業継続にITシステムが不可欠の役割を果たすことから、現実的な問題として企業の情報やシステムをどのように災害から守るかが緊急の課題となる。ここで必須の要素となるシステムやデータのバックアップについて、従来にはない充実した展示が今回の大きな特徴である。

データのバックアップについては、信頼性の高いデータセンターを背景としたバックアップサービスがすでに数多く運営されている。今回地元企業として出展しているアイアットOECも、自慢のデータセンターを核とした完全な二重化によるバックアップサービスを紹介するなど、安全かつ低コストのバックアップサービスが日本全国で展開されている。

バックアップサービスが広く普及する一方では、外部へのデータバックアップについて関心の薄い小規模企業がまだまだ多いという現状がある。この状況を打開すべく、必要最低限のバックアップサービスをアピールするのが日立システムズだ。日立の看板を掲げながらも、初期費用ゼロで5GBまで月額1,000円という低価格のバックアップサービスを紹介した。低価格とはいえ、日立の東日本と西日本の両データセンターによる二重化で信頼性を確保していることがアピールポイントだ。バックアップサービスにはさまざまな種類があり、用意されているオプション機能もさまざまなので、いずれのサービスが安いかは一概に言えるものではないが、「小規模企業が外部へのバックアップに踏み出すための第一歩となるサービス」としての存在価値は誰しも納得するところだ。
 
バックアップソフトの違いを理解
さてバックアップサービスが一般化したとはいえ、データのバックアップはまず自社内で行うことが基本だ。自社内でのバックアップはいずれの企業でも必ず行なっているが、ここで威力を発揮するのがバックアップソフトであり、複雑化した最近の企業ITを運営する上での必須ソフトとなっている。

バックアップにはバックアップソフトが不可欠であるとはいっても、数多くのバックアップソフトの中からいずれを選ぶかは、企業ユーザーにとってはもちろん、販売店にとってもなかなか悩ましい問題である。価格的にはサーバー当たり10数万円という価格帯で一致してはいるものの、ではそれぞれのバックアップソフトにどのような違いがあるのかを理解するのはなかなか難しい。各社の製品パンフレットを見てもほぼ同じで、自社に最適なバックアップソフトを導入していると自信を持って言える企業はまずないというのが実情だ。そこで今回はバックアップソフトの主力4社がそれぞれのプロダクトを一堂に紹介、これによって初めてその違いを理解したという来場者は多い。

日本CAが紹介したバックアップソフト「CA ARCserveシリーズ」は、日本に最初に上陸したバックアップソフトとして実績と信頼をアピールする。より具体的には、今までの実践の積み重ねの中から、標準搭載すべき機能とオプションで用意すべき機能との判断に一日の長があるということだ。「DBとアプリケーションとを同時にバックアップできる機能など、標準搭載しているからこその使いやすさがあり、コスト安にもつながる」(日本CA)という。

しかし「CA ARCserveシリーズ」は、対応OSがWindowsに限られる。この点をカバーしてマルチO S 対応としたのが、アクロニクス・ジャパンの「Acronics Backup&Recovery 11」だ。「企業サーバーの仮想化が進んだ最近のシステム環境においてマルチOS対応は不可欠」との判断によるもので、WindowsとLinuxが混在するサーバー環境などでシェアを伸ばしている。

ラネクシーが紹介するバックアップソフト「ShadowProtect4」は、「バックアップに必要な基本機能にポイントを絞り込むことによって、システム管理者不要の使いやすさと安全性、処理スピードなどを向上した商品」(ラネクシー)で、今年ラネクシーが取り扱いを開始したことで日本市場への初登場となった。バックアップやリカバリに要する処理時間が速いとは言っても、競合商品に比較して20〜30%程度の時間短縮に過ぎない。しかし「バックアップに要する時間が長いとエラーが発生する可能性も増す。たとえ20%の時間短縮であっても、危険性を減らすという点で大きなメリットとなる」というのがラネクシーの主張である。

これら海外製バックアップソフトに対して、国産で気を吐くのがネットジャパンの「Active Image 3.0」だ。BCP関連ソフトは海外製が主流を占めているが、その中にあって国産ならではの充実したサポート体制をアピールする。「当社も昔は海外製品を扱っていたが、海外製品のサポートの難しさを痛感して自社開発に踏み切った」(ネットジャパン)という経緯を持つ。いずれのバックアップソフトにおいてもトラブルを100%無くすことはできないので、サポートは必須となる。「しかし現実のサポートを見ると、対応力や迅速性において大きな違いが生じる」というのがネットジャパンの指摘だ。

日本CA アクロニクス・
ジャパン
ラネクシー ネットジャパン
 
オープンソースの世界に大きな変化
クラウドの普及によって大きな変化を見せているのがオープンソースである。Linuxをはじめとするライセンスフリーのオープンソースが登場して久しいが、無料であるがゆえのサポートや品質保証の問題などから、一般企業への導入は今ひとつ進んでいない。ところがネットワークの新たな形としてクラウドが普及し始めた頃から、オープンソースに品質保証とサポートを付加し、これをサービスとして提供するビジネスが台頭し、オープンソースは第二の普及段階に入ってきた。特に今年に入ってのオープンソースの成長は目覚しく、現時点で世界の証券取引所の50%以上でオープンソースによるITシステムが稼働していると報告されている。

このオープンソースビジネスを世界規模で牽引するのがレッドハットだが、今回はLinuxカーネルに標準搭載された仮想化機能である「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」を紹介した。KVMと聞くと、KVM(Keyboad,Video and Mouse)スイッチを連想するのが一般的だが、レッドハットのKVMはスイッチとは全く無関係のソフトの略称である。

KVMはLinuxカーネルに標準搭載された仮想化機能なので、当然のことながらライセンスフリーで誰もが利用できる。VMwareが圧倒的シェアを持つ仮想化ソフトについて、今後の可能性としてオープンソースのKVMについて関心を寄せる技術者は多いと言われる。しかしオープンソースであるがゆえに一般企業においては選択の対象としてリストアップすらされていないことが多い。

そこでレッドハットは今回の出展において、オープンソースの仮想化環境としてKVMの実用性と可能性を強くアピールした。LinuxおよびKVMの品質保証とサポートについてはレッドハットが行うので、この面でのオープンソースのデメリットは解消する。つまりレッドハットはサービス業としてのビジネスを実践することになる。そしてオープンソースならではのライセンスフリーによって、レッドハットのサービス料を加味しても既存商品による仮想化環境に比較して一桁低いコストでの仮想化環境構築が可能になる。

今まで販売店にとっては商売の邪魔をするイメージの強かったオープンソースだが、ネットワークの進化とともにオープンソースを核としたビジネスの将来性が見えてきた。今回のレッドハットのブースへの関心の高さが、オープンソースの今後の可能性を示していると言える。

レッドハット 両備グループ OECグループ
 
地元企業の積極出展が多数の来場者増に
今回の「DISわぁるど in 岡山」のもうひとつの特徴が、地元有力企業の積極的な出展で、両備グループ、OECグループ、ピコシステム、富士ゼロックス岡山、ラインズオカヤマ、クラブン、カイタックの7社のほか、明石被服興業、トンボ、セロリーの3社がアパレル製品を紹介、来場者からの高い評価を得た。

ピコシステム
「DISわぁるど in 岡山」の中心的役割を担ったDIS岡山支店の西克典支店長は「岡山県を中心に、中四国全域さらには関西圏からもご来場をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。125社という出展者様のご期待に応えるためにもできるだけ多くの方々にご来場いただこうと考え、従来の『わぁるど』の2倍以上となる来場者3,000人を目標に掲げました。地元企業の積極出展などの相乗効果もあり、ほぼ目標通りの集客につなげることができました。出展者様、来場者様には重ねてお礼を申し上げますとともに、この開催を契機として皆様のビジネス活動により一層のご支援をさせていただく所存です」と結んだ。
 
次回の「わぁるど」は来2012年7月25、26の両日、北海道札幌市の札幌コンベンションセンターでの開催が予定されている。運営を統括するDIS北海道営業部の安宅淑哉部長は「東北地方大震災が発生してすでに8カ月が経過し、地域復興に向けたさまざまな取り組みが各地で行われています。札幌でのわぁるど開催の取り組みを通して、東日本の復興に少しでもお役に立つことを願っています。今回のわぁるど in 岡山を見て、DISわぁるどが地域の活性化にますます貢献していることを実感しました。地域密着を標榜するDISならではの重要なイベントです。北海道、東北、さらには全国に向けて力強いメッセージを発信したいと考えます。ご期待下さい」と抱負を述べた。

次回の「札幌わぁるど」に向け、固い決意を示す
左から札幌支店・保坂係長、東日本営業本部・大内本部長、北海道営業部・安宅部長、札幌支店・園部主任
 
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