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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2010年7月号-
「原点回帰+組織力(個の結集)」を標榜し更なる成長目指すDIS
インタビュー 野上 義博社長
ダイワボウ情報システム 野上 義博社長
ダイワボウ情報システム  野上 義博社長
一時の最悪期を脱したとは言え予断を許さない経済環境にあって、ダイワボウホールディングスの中核事業、ITインフラ流通事業を担うダイワボウ情報システム(野上義博社長、略称DIS)は地域密着という原点回帰策によって、過去最高の売上げで2009年度に区切りをつけました。クラウドを始めとするIT分野に新たなうねりが押し寄せる中、トップITディストリビューターとしてその動きに注目が集まるDIS。野上社長に、前年度総括を踏まえた今年度の意気込みを聞きしました。
 
地域密着が奏功し前年度は過去最高の売上げに
――まず2009年度を総括していただけますか。
野上社長(以下敬称略)●厳しい状況が続いた上期に対して下期はその落ち込み分をカバーする業績を上げ、通期としては計画及び前年実績をクリアして過去最高の売上高を記録することができました。しかし利益については、前年実績は上回ったものの不満足な結果に終わりました。
 
――前下期の反転攻勢をどのように分析しておられますか。
野上●上期の状況を踏まえて、DISの原点とも言うべき地域密着を徹底すべく社員と地域の販売店様が一丸となって努力した結果だと考えています。また日常的に、当社各拠点に対面していただいているメーカー様のご協力も大きかったとみています。誌面上ですがあらためまして、販売店様、メーカー様のご支援・ご協力に感謝を申し上げます。いずれにしても、地域のさまざまな案件をしっかりとキャッチして適切な対処を行うという、足元をしっかりと見据えたビジネスの成果です。それがスクール・ニューディールといった大型需要の獲得に結びつきました。
 
――地域的にはいかがでしたか。
野上●徹底した地域密着の効果は、九州、中四国、東日本の各地域で大きな成果となって表れています。当社が拠って立つ地域密着戦略を徹底すれば必ず結果はついてくるということで、社員も大いに自信を深めたのではないでしょうか。販売店様との連携と社内の連携などさまざまな工夫と努力が成果に結びつくという自信がついてきたようで、この自信が次の成果につながってくると期待しています。
 
――逆に大都市圏はいかがでしたか。
野上●東名阪という大都市圏では、まだまだ想定し得る結果が出せているとは言い難いのが現状です。しかし東京中心に首都圏では、そろそろ地域密着の効果が出てきたように感じています。関西についてはやや立ち遅れたこともあり、その成果のほどはこれから表面化する見通しで、中部圏を含めて大都市圏については今年度上期のできるだけ早いうちに結果が出てくるとみています。
 
――大都市圏における地域密着戦略は、どのように捉えたらいいでしょうか。
野上●地方については市場が限られているだけに、自分達で案件を懸命に取り込んでいかないと前に進めないということで、地域密着をやらざるを得ない環境にありました。しかし市場が大きい大都市圏では、こなす受注量が多いことから地域密着まで手が回らなかったという事情があります。ところが今回の大不況の後、大都市圏でも地域密着で需要を掘り下げていかないと前に進めなくなったのです。そしてライバルとの競合に勝つためにも、いかに販売店様とそのエンドユーザー様に振り向いてもらえるかが勝負のポイントとなっています。ここで威力を発揮するのが地域密着戦略です。つまり競合の多い大都市圏でこそ、地域密着が重要になっているということです。
 
PCマーケットシェア13%超も更なる差異化必要
――2009年度の成果のひとつとして、PC分野でのDISのマーケットシェアが大きく拡大したと聞いていますが。
野上●PC販売台数は目標を大きく上回る186万台を達成、対前年度比21%増となりました。マーケットシェアも13%を上回ったと認識しています。しかし金額では、わずかですが前年を下回っています。現在の単価下落傾向を考えると、毎年台数を20%増やしても金額では前年を下回ることになり、これが大きな問題です。単価が今後も下落するか低位安定することを考えると、エンドユーザー様の利便性、必然性を考えた付加価値商品の組み合わせによるセット販売をさらに強化することが重要で、新商品に対してもこれをフルに活用する最適の組み合わせを提案するなど、お客様にとってプラスになるような戦略を徹底する必要があります。
 
――マイクロソフト製品のシェアアップも目立ちますね。
野上●2009年度末時点での当社のマイクロソフト製品のディストリビューター内でのシェアは日本で第2位、世界でも5位とのことです。マイクロソフト製品の対前年比は金額ベースで37%増を記録、この伸張率は世界でもトップと聞いています。今期はWindows7、Office2010、Windows Server、オンラインサービスの4項目を中心に、マイクロソフト社さんとの協業を強化する方針です。ちなみに当社では、「マイクロソフトHyper-v 仮想化検定」を営業部及び販売推進部やテクニカル推進部など合計755人が取得しています。この数字は、営業系社員のほぼ全員です。
 
――WiMAX事業についてはいかがですか。
野上●WiMAXに本格参入からすでに1年を経過、通信ビジネスにもようやく慣れてきたところです。WiMAXの成長とともに歩んできたこの1年間は、当社の今後の通信サービス事業展開を支える貴重な体験となっています。最近公表された数字によるとWiMAXの基地局数もすでに8,000局を超え、今年度は更に8,000局増やして合計15,000局超になる見通しとされており、全国をカバーする通信網として認知度が高まっています。インフラが整ったこれからが本当の勝負だと考えています。
 
ディストリビューターの立場でクラウドに対応
――さてここへきて、景気は回復しつつあるようですが。
野上●極端に収縮していた民需にようやく回復傾向が見えてきたということで、回復本格化への期待感が高まっていることは事実です。しかしさまざまな業界の方と話しても、回復しつつあるという確かな手応えがあるわけではありませんので、決して楽観はできません。
 
――IT分野ではクラウドに対する期待が高まっていますが。
野上●ITビジネスの主役としてもてはやされているクラウドですが、IT投資を手控えたいユーザーの現状に見合った提案という側面が強いように思います。かといって「クラウドにすれば投資がこれだけ削減できますよ」という提案スタイルだけでは、景気低迷という経済環境下でもなかなか受け止めてもらえません。ITの新たな方向性であると喧伝するためにも、旧来のITサービスの延長線上ではなく、利益を確実に生む戦略性のあるクラウドである必要があります。最初にまずクラウドありきではなく、結果としてのクラウドであるべきだと考えます。
 
――クラウドは、まだITの新たなビジネスモデルではないのでしょうか。
野上●いえ、今後のITの大きな方向であることは間違いのないところだと思います。IT関連システムなどをユーザーに販売するという従来のITビジネスから見れば、目的に応じたサービスそのものを提供するというクラウドが、新たなビジネスモデルであることは事実です。繰り返しになりますが、ユーザーにとって必然としてのクラウドの提案が不可欠と考えます。
 
――現状では、話題づくりがクラウドビジネスの原動力になっていると思えるのですが。
野上●もちろんそれも大切でしょう。ただユーザーの利便性はもちろんのこと、膨大なユーザーからのリクエストを瞬時に処理してセキュアなサービスを実現する裏には、最先端の技術成果が活かされているわけで、技術的にも今後の大きな成長が期待できる分野です。それだけに方向性としてのクラウドと、現在のビジネスとしてのクラウドを同一に考えるには多少の無理があります。当社としては今後の方向性としてのクラウドを見据えながら、ディストリビューターの立場で何ができるのか、どのような役割が求められるのかを冷静に判断していくことが大切だと考えています。ディストリビューターとしてのSaaS・PaaSを構築していくために、今年1月からビープラッツとの協業を開始したのもそのためです。
 
「創立30年・5000億円企業」への挑戦を全社で共有
――経営統合により新たに立ち上がったダイワボウホールディングスの中核企業を担っていますが、統合効果についてはいかがでしょうか。
野上●経営統合から1年経ちましたが、前述したようにその中核企業として最低線の役割は果たせたと認識しています。一方で、ホールディングス全体でさまざまなすり合わせを行っており、統合効果はこれから発揮されることになると思います。ただ企業統合は目先を考えてのことではなく、企業グループの明日を見据えたものです。具体的な成果が見えてくるのはもう少し先のことになると思います。
 
――最後に、今年度の重点施策や目標をお聞かせ下さい。
野上●事業環境には依然厳しいものがありますが、企業は常に前進が求められます。当然、増収増益を念頭に掲げ、来るべき創立30周年に向けて売上高5000億円を目指すための重要な年度であることを全社員で共有しています。そのためにも、あらためて「原点回帰+組織力(個の結集)」によって、社員一人ひとりが課せられた任務を全うするよう、期初から徹底しています。
 
――「組織力」ということに関して更にご説明ください。
野上●「組織力(個の結集)」ということの基本は、まず本部長が方針を具体的施策にし、部長は各拠点の責任者に、さらに拠点の支店長は社員一人ひとりに理解させて自ら実践することで、それぞれが「責任を全うできる」わけです。これによってはじめて、個の役割、価値の向上など「組織力」が生きます。ただそれをより有効にして更なる成長を図るために、社内組織のヨコの連携を密にしたいと考えています。当社の組織はどちらかというとタテ型が特徴で、このタテ型が“くさび”となって当社の成長を支えていることは事実です。しかし時代の変化とともに、ヨコのつながりも重要になってきたように感じています。タテ型組織のメリットを生かしつつ、それぞれの組織がヨコ方向に有機的につながることによって新たな力が生まれるように思いますので、今期はヨコ連携という組織面の充実に積極的に取り組んでいます。
 
――7月14〜15日に長崎市で、「DISわぁるど」が開催されます。
ダイワボウ情報システム  野上 義博社長
野上●社長に就任してから、今回の長崎開催で3回目となります。この種のIT総合展は最近少ないこともあり、販売店様から非常に評判が高いことに今さらながら驚いています。あらゆるIT関連メーカーが一堂に揃うという場の提供は、来場されるお客様にはもちろんのこと、出展メーカー様からも大きな魅力があるとの評価をいただいています。「DISわぁるど」は次の11月25、26日の富山市開催を含め、今後も各地で積極的に開催する予定です。ご期待ください。

――ありがとうございました。
 
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インタビュー 野上 義博社長