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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2009年10月号-
メーカー間の“真剣勝負の場”へと確実に変化 地場企業に役立つ最新ITを一堂に紹介
「DISわぁるどin福島」レビュー
地場企業に役立つ最新ITを一堂に紹介する県下初の大型フェアとして注目を集めた「DISわぁるどin福島」が、大好評のうちに幕を閉じた。不況の中で伸びる商材、ユーザー企業が期待する商材、今後の成長が期待できる商材など、厳しい環境下でビジネスに直結する内容が大きな評価を呼んでいる。また来場者も2日間で合計1,119人と、期初目標の500人を大きく上回った。
 
9月2日、3日の両日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」で開催された「DISわぁるどin福島」は、展示会に加えて基調講演、パネルディスカッション、ITビジネスセミナーなどで構成され、最近のIT環境における旬の情報が幅広く紹介された。

展示会場はグリーンITゾーン、ITネットワークゾーン、製造業ゾーン、情報家電ゾーン、内部統制・セキュリティゾーン、シンクライアント・サーバ仮想化ゾーン、DISゾーンから構成され、「すべての企業が強い関心を持つ旬のIT情報に加えて、福島県の地場企業にとって最優先となるITビジネス情報をくまなく網羅」(大内宏之・東日本営業部長)したことが今回の特徴。

ITビジネスセミナー ITビジネスセミナーWindows7

グリーンITが地球環境保護活動であると同時に、企業のコストダウンにつながることは広く知られている。そのためには企業全体で取り組むことがネットワーク全体の見直しにつながり、シンクライアントや仮想サーバーはセキュリティとも深く絡むなど、各テーマがゾーンを超えて深く関連し合った構成となっていた。つまり来場者が興味を持つブースに立ち寄ることをきっかけに、次第に最新ITの全貌に視野が広がるという構成で、ITフェアの新たな可能性を示した。

来場者をDISわぁるどの世界へと誘う突破口となるのが、会場入口に設けられたグリーンITゾーンで、販売店にとっては旬の商材発掘の場として、ユーザー企業にとってはコスト削減の可能性を判断する場として大きな関心を集めた。

スタンプラリー 製造業ゾーン

コスト削減でまず目標とされる消耗品については、プリンタのトナーを削減する「トナー・カッター」(TCBテクノロジーズ)がヒット商品として知られるが、今回はプリントサーバーに対応した「トナー・カッター・サーバー」が初登場、シンクライアント・ユーザーにもトーナー削減を可能とした。この商品は欧米市場でもヒット商品として定着、グリーンITが世界的な傾向であることを窺わせる。「導入前にコスト削減効果が明確なほぼ唯一の商材であり、企業を訪問する際の格好のツールとなっている。商談を持ち込んだお客様から嫌がられることがないので、営業員にとっては有難い商材」(地場販売店)という声が多く、ビジネス活性化ツールとしても評価されている。

グリーンITの本命と目されるエネルギー削減については、製品の省電力化が進んだ今、ITの現場から関心が高まっているのが電源管理。最近はインテルをはじめとしてCPUレベルでの電源管理機能が話題となっておりエネルギー削減効果も高いが、これはシステムが順調に稼働していることが前提で、システムがダウンすれば対応は不可能だ。そこで電源を遠隔地からコントロールできる電源管理ソリューションが発売されているが、従来は大手企業中心の需要だった。しかし省電力への関心が高まるとともに電源管理ソリューションにも普及価格商品が登場、縁の下の力持ち的な地味な商品から脱皮しフェアの主役として注目されるようになった。

ラリタン・ジャパン APC

電源管理ソリューション分野ではAPCがトップメーカーとして知られており、小型UPS分野では世界で過半数のシェアを握っている。日本では大手ITメーカーと協業してのビジネスが中心だが、今回は地場販売店や地場ユーザー企業を対象にシステム全体の電源管理を一元化するソリューションが紹介された。またラリタン・ジャパンは、電源管理ソリューションの中でも「現状分析の視覚化」にポイントを絞ることでその必要性と効果を分かりやすく紹介した。

エネルギー削減の本来の目的であるCO2削減効果については、メディアメーカーが興味あるアプローチを行っていた。記憶メディアとしてフラッシュメモリが全盛となる中、磁気テープや光ディスクといった従来メディアが伸び悩み、メディアメーカー各社も厳しい環境が続いている。このような環境下で新製品開発や品質向上、価格低下といった商品面でのチャレンジに加えて、メディアの生産から廃棄に至るライフサイクルマネジメントに活路を求めたのがイメーション。窒素を充満した釜の中でメディアに高温を加えることによってCO2の発生を抑えながら炭化する手法を紹介、「メディアライフサイクルマネジメント」を追求する同社の姿勢は、メディアメーカーの立場からのグリーンITチャレンジとして注目されている。

イメーション ソニーマーケティング

消耗品や省電力以外のコスト削減として注目されているのが人の移動コスト。会議への参加や会談なら、人が移動しなくてもTV会議システムで目的が達することも多く、最近はTV会議の活用が一般的だ。TV会議システムも話題先行の時代を過ぎて最近は中小企業層への導入が相次いでいるが、企業が導入を決定する最大のポイントは、実際に使ってみてその成果を実感することにあるとされている。TV会議システムは、事件や災害に強い商材であって、同システムが一般企業への本格普及を開始したきっかけは2001年の米国同時多発テロだと言われている。その後、2005年に鳥インフルエンザが猛威をふるった時にも販売量が急増、そして昨年来の世界的大不況によって現在も好調が続いている。

本格普及する前にメーカーの淘汰が進み、現在は世界市場で主力数社が生き残っている。その中でも今回は、トップブランドとして音質や大規模システムに特色を持つPOLYCOM(プリンストンテクノロジー)と、精細な描画力と国産メーカーならではのキメ細かいサービスとを特色とするSONY(ソニーマーケティング)の2つのブランドが出展、実際に商品が比較検討できるとあって、来場者にとっては導入を検討する格好の場となった。「ほんの数年前と比較しても機能や速度は断然の進化を遂げており、しかも一体型だと30万円ほどの価格帯になった。バンデミックの危険性や出張コストを考えると、活用を考えない手はない」といきなり商談を進める来場者の姿もあり、環境が厳しいほど販売量が増える商材としてトナー・カッターと双璧をなしていた。

プリンストンテクノロジー 電子ペーパー(ブラザー)

エネルギー削減とセキュリティ確保という両要素をカバーするユニークな商品がブラザーの電子ペーパーで、東北地方では今回が初の登場だった。ペーパーというより携帯型ディスプレイといった方が似つかわしい商品だが、従来の一般のディスプレイとは描画方法が全く異なる。微小の粒子を移動させることで描画を行うので、電力は表示を切り替える時だけ消費する。A4サイズ10,000枚分のデータを2GBのmicroSDカードに保存、保存したデータは暗号化されるため、microSDカードを紛失した場合でも情報は安全だ。省電力かつ高セキュリティの電子ペーパーとして来場者の関心は高く、大企業での大量導入の事例も紹介されていた。当面はあくまで企業需要を対象としていることから家電量販などコンシューマ系への浸透はまだまだだが、今後の推移が注目されるユニークな商品と言える。ユニークさと言う点では、いずれの出展社もオリジナリティをしっかりと強調できることが今回の大きな傾向だった。オリジナリティを打ち出し難いIT商品だが、一見同じように見えながらも見えない部分での工夫と努力があるのだということを、熱く語る出展者が増えていた。プリンタに例をとれば、普及価格のモバイルプリンタであっても、インクのコストを削減するためにインク容量を大きくしたり、モバイルユースでインクが切れた際には緊急用に他のインクでカバーする機能を持つ(HP)など、メーカーとしての努力と工夫があることがきちんと伝えられていた。これに来場者も真剣に耳を傾けるなど、DISわぁるどが親睦を兼ねたイベントから、より真剣勝負の場へと変化しつつある。

1日目に行われたパネルディスカッションにおいても、NEC、富士通、日立製作所、HP、IBMというサーバーメーカーの販売責任者が顔を揃え、「これからの市場で共に勝ち続けられるビジネス戦略を考える」というテーマで、サーバービジネスの現状と今後について他では聞けない真剣な論議が行われた。

HPモバイルプリンタ パネルディスカッション
 
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