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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2009年9月号-
「厳しい経済環境を新たな発展のチャンスに」
DISの営業部隊をバックアップする二本部の役割とは
DISの09年度営業戦略D 販売推進本部・テクニカル推進本部
出席者
安永達哉 専務取締役 営業部門統括兼販売推進本部長
小峰伴之 取締役 テクニカル推進本部長兼カスタマイズ推進部長兼東京支社長
西田善紀 取締役 テクニカル推進本部副本部長兼テクニカル推進部長
猪狩 司 販売推進本部 販売推進部長兼マーケティング部長
ダイワボウ情報システム(DIS)が今年4月からスタートした新体制は、厳しい経済環境を発展のチャンスとすべくディストリビューターの新たな方向性を具現化するものとして注目を集めています。シリーズ「DISの09年度営業戦略」の最終回は、営業部門を支える販売推進本部とテクニカル推進本部の幹部に、第1四半期の実績を踏まえながら今後の課題などについて話し合ってもらいました。
 
第1四半期のPC販売台数は126%の伸長
着実に高まるカスタマイズセンターへの期待
――今年度スタートの第1四半期はいかがでしたか。
安永専務(以下敬称略)●周知のとおり、今年度第1四半期は内外ともに厳しい状況が続きました。この環境下で当社のPC販売台数は、数量ベースで前年同期比126%の成長を遂げることができましたが、最近の厳しい単価下落傾向によって、金額的には微減となりました。しかし販売台数の大きな伸びは、今後の戦略遂行に向けた布石として大きな意味があると考えています。コンシューマの世界ではPCはやや踊り場を迎えた感は否めませんが、コーポレートの世界ではシステムを構築する上での素材と捉えており、この素材が対前年同期比126%ということは、企業ITを牽引するコア素材が大きく伸びたということで、ITが再び成長する基盤が整ってきたと感じています。

西田取締役(以下敬称略)●第1四半期の昨対台数126%という数字は首都圏と地方が共に伸びた結果ですが、その要因のひとつとしてカスタマイズ機能によるプラスα効果があるように思います。加工というプロセスを積極的に打ち出したからこそ、従来は手掛けることができなかった分野の開拓にもつながります。テクニカル推進本部としては、この上期の成果を見極めた上で、下期に向けて最善の施策を打てるよう準備を整えているところです。

小峰取締役(以下敬称略)●加工というプロセスの拠点となるのが、今年4月に立ち上げたカスタマイズセンターです。ユーザー様の要望に応じた仕様に組み上げるキッティング、メーカーのオリジナル仕様を臨機応変に実現するインプリメンテーションなど、ソフトやハードの加工処理を行うセンターです。スタートしてまだ数カ月ですが、見学希望の取引先様も多く、ご覧になられたお客様からの引き合いが相次ぐなど評価は上々です。最近は営業ベースでの活用案件・見積依頼も増加しており、社内外を問わず確実に認知度が高まっていると感じています。

猪狩部長(以下敬称略)●市場環境もここ数年で大きな変化を遂げています。特に顕著なのは海外メーカーの躍進で、日本市場もグローバル競争の真っただ中にあることを実感します。海外主力メーカーは、メーカーとしての機能を強化すべく各国での販売についてはディストリビューターを有効活用する戦略へとシフトしてきています。一方長らくメーカー系販社を重視してきた日本のメーカーも、市場のマルチベンダー化が進むにつれて単一メーカーではカバーできないケースが増えています。そうしたことから、一貫してマルチベンダーの道を進んできた当社への期待が、さらに強まっていると感じます。
 
 
テクニカル推進本部はチャネルの創出・強化とメーカー機能を補完
安永●今回の不況は、当社にとってまたとないビジネスチャンスだと思います。基本的にはメーカーが果たすべき役割・作業ではあっても、最近の状況下では大きな負担となる作業が多いのです。これを当社が補完することで、当社のビジネスの幅が広がりますし、逆にメーカーはコストの合わない作業から解放されることになります。その役割の中でも最も重要なのがエンドユーザー様に近いところ、即ち納品直前のタイミングで、かつソフトウエアを含めた複数メーカーが組み合わされた最終商品として完成し提供することです。これには、カスタマイズという作業が必須の条件となっています。

西田●当社はここ数年、地道にチャネル開拓、そして維持活動を進めてきました。中でも、単価の下落に対抗できるような高付加価値商品をいかに販売するかという、チャネルに対するトレーニングは重要です。このトレーニングによって、新たなビジネスにチャレンジしようという販売店様も増えています。今回のカスタマイズセンターは、チャネルにとってもその役割は限りなく大きいと思います。進化する技術を臨機応変に使いこなすためにも、よりユーザーに近い場所でのカスタマイズが求められているからです。

安永●シスコ事業によって当社は本格的にネットワーク事業に参入したわけですが、単体商品販売とは異なるネットワーク事業の難しさを知りました。ネットワーク事業への参入を内外に公言する形で大々的に着手したシスコ事業ですが、既存のシスコユーザー様が当社から購入することはほとんどなかったというのが正直なところです。なぜなら、ユーザー様はネットワークのトータルサポートを求めているからです。ならば当社もバックヤードを含むトータルな形でネットワークを手掛ける必要がある。そこでシスコ事業部をさらに発展させ、より大きな世界を扱うテクニカル推進本部へと組織改革を行いました。テクニカル推進本部の役割は、西田取締役が話したようにまずチャネルの創出と強化にあり、次にメーカーのサプライチェーンにおけるエンドユーザー様に近い部分の補完にあります。

西田●シスコ事業については地味ながらも着実な伸びを見せており、販売店様の地道な努力が成果となって表れています。本来の期待値はもっと高いところにあるとはいえ、ネットワーク事業に対する販売店様の努力には頭が下がります。ネットワーク需要そのものは、不況の中で大企業がIT投資を抑えているので世界的に厳しい状況です。その中で当社のシスコ事業が成長を遂げているのは、ひとえに販売店様の努力の賜物だと感じています。DISのネットワーク事業もようやく光が見えてきたといえます。

小峰● 厳しい経済環境といえども、ネットワークはさらなる進化・拡大を遂げています。低迷するIT市場の中で、成長著しい分野であるネットブックPCも、ネットワークが普及したからこその商品で、ネットワークを核とした商品の高度化と多様化は驚くべきスピードで進んでいます。この市場環境において、これらをすべて分け隔てなく取り扱えるディストリビューターの存在が見直されており、コスト重視の立場からもディストリビューターへの期待は高まる一方です。この状況に対応すべく、高度化多様化する商材の充実はもちろんのこと、メーカー機能の代替や販売店機能の支援拡大など、事業分野の拡大が緊急の課題となっています。販売推進やマーケティングといった機能についても、新たな環境への対応が求められています。
 
ユーザーに真に役立つ商材仕入れに全力
一方で販売管理コストを徹底して削減する
――販推やマーケの新たな環境への対応策とは――。
猪狩●4月から販売推進部とマーケティング部を担当してきましたが、当社のマーチャンダイズに対するメーカーの期待の大きさにはいまさらながら驚いています。利は元にありということで、お客様に本当に役立つ商材を仕入れることが大きな任務だと認識していますが、まだ数カ月の経験ながら本当に良い商材をプロモーションする力が何よりもまず必要だと痛感しています。しかし販売力あってこその購買力ですので、販売力がすべての根底にあるということは言うまでもありません。お客様と一緒になって販売していくことが私達の使命です。営業部隊との連携は言うまでもなく、テクニカル推進本部との密なる連携によって今後の販売推進に寄与できることを願っています。

安永●多くの企業で販売推進やマーケティング部門は成果が見え難いもので、当社も例外ではありません。販売を支えるさまざまな作業がこれらの部門に集中するなど、ややもするとカバー範囲が広がりすぎる傾向は否めません。増収増益が続いた高度成長期には問題なくとも、現在のような不況下では従来スタイルのままではさまざまな問題が生じます。そこで販売推進部およびマーケティング部の役割を整理することになりました。販売推進やマーケティングに限らず、さまざまなセクションにおいて、役割分担の明確化は今後の重要な課題です。

猪狩●これだけ環境が厳しくなると、従来にはないさまざまな対応が必要になります。マーケティング部としては、営業推進グループとの共同戦線によってメーカー戦略をより効果的に展開していくことが当面の課題です。

安永●平たくいうと、お客様と接することイコール営業ではないということです。それにかける時間や労力に見合う成果を上げてこその営業であり、費用対効果を考えない営業行為は営業とはいえません。薄い利益の中でどのような営業戦略をとるかは、当社の盛衰に関わる極めて重要なテーマです。当社は昨年度、悲願であった日本における総需要の10%を超えるPC販売台数を確保しました。しかし当社が日本のトップPCディストリビューターであるといっても、分野別に見ると決してトップではありません。これを間違ってはダメです。企業力とはつまるところ、個々のビジネスをいかにローコストでやり遂げるかに尽きるのです。ディストリビューターとして生き残る道は、徹底した販管コストの削減にしかありません。結果、販売店様とそのエンドユーザー様に大きな利益をもたらすことになります。

小峰●私たちが担当する推進部門では、特にスピード感とコスト意識を持つことが重要です。そしてこのスピードとコスト意識は、成果に結び付いてこそ意味があります。大きな成果に結び付けるには、DISグループ各社の力を結集して相乗効果を高める必要があります。販売推進本部やテクニカル推進本部の仕事は、DISグループ企業各社との連携なくしては成り立ちません。DIS物流、DISテクノサービス、DISソリューションなど、DISグループ各社との連携で組織力を高めていくことが大切です。グループ企業各社はそれぞれの分野における専門企業ですので、その融合は単なる足し算を超えた大きな力となると考えています。
 
期待できるネットワークとストレージ
新たな仕入先が毎月5社ずつ増える
――ネットワーク事業への取り組むはいかがでしょうか。
安永●今後、SaaSやクラウドが台頭して来ると各企業のITは自社施設とのハイブリッド化が加速する事は間違いありません。そうなると回線インフラの利活用は避けて通れなくなります。ただし当社が回線インフラ、キャリア事業や携帯電話事業への参入など、単独事業としての成立はディストリビューターである以上なおさら見込み薄です。ところが今年7月から、IntelのプラットフォームをベースとしたWiMAXモバイルブロードバンドサービスが始まり、Intelの世界戦略でもある事から当社にとって必然のビジネスと捉まえ、MVNOとして参入致しました。WiMAXの普及はまだまだこれからです。それだけに勝算が見込める分野でもあり、Intelのロードマップを意識することは、不可欠であると考えております。

西田●ハードレスとまではいかなくとも、市場におけるサーバーの販売台数は毎年減っているのは事実です。最近はネットワークを利用した分散型仮想サーバー需要が旺盛で、この傾向を後押ししています。サーバーの仮想化とは数あるサーバーを統合化しようということですので、サーバーが高機能になり数が減っていく方向にあるのは時代の流れで、ここ2〜3年でサーバーの台数はさらに減ると予想されます。反対に増えているのが大容量ストレージです。従来のサーバー需要がストレージに変化することを意識した戦略が求められています。

安永●日本の企業は、固定資産としてサーバーを位置づける傾向が強かったように思います。しかし今回の不況によって、SMBチャネルに於いてサーバー自社保有に関する意識に明らかな変化が見てとれます。SaaSが果たして日本企業になじむかどうかの論議はさておき、不況が日本のSaaS需要を後押しする可能性は十分にあります。データセンターの活用を見ても、ネットワークインフラさえしっかりしていれば自社でサーバーを持つ必要はないと考える企業が増えています。このようなユーザー環境で期待できるのが、ネットワークとストレージであり、モバイル回線インフラとしてはWiMAXとなる訳です。

猪狩●WiMAXを運用するUQコミュニケーションズを始め、当社の仕入れ先は従来のメーカーという括りには含まれない企業が増えています。今までは直接の関わりを持たなかった企業との関係を深める必要性を強く感じています。現時点での仕入先数は859メーカー、商品は計156万アイテムですが、最近は毎月5社ずつ増えている勘定です。仕入先予備軍とも言えるこの裾野部分は現在もなお拡大しており、ここに金の卵が隠れている可能性が強いのです。これを発掘することもマーケティング部の大きな役割で、テクニカル推進本部と協力して新たな可能性の高い企業や商材を発掘していきます。

安永●先日、あるメーカーさんが来られました。その企業さんは、小規模ながらメジャーメーカーのスパムフィルターに勝るとも劣らない商品を開発しています。しかしまだ力不足で、商品としては陽の目を見るに至っていないのです。これを当社がマネジメントすることで、世界的商品に化ける可能性があります。この可能性を夢物語と捉えるか、取り組んでみる価値があると考えるかで、その後のビジネスも大きく違ってきます。

西田●私達が得意とするのはマルチベンダーとしての組み合わせです。そしてこれを具体的なビジネスに落とし込んで、お互いの取り分を明確にして当社の営業や販売店様に提示できるような、そういうモデルをしっかりと作っていくことが先決です。仮想化の単なるアピールではなく、販売店様が利益を生むビジネスモデルをまず構築し、かつ手離れの良い現実のビジネスとして提供していくことが何よりも重要だと考えています。
 
ダイワボウとのシナジー効果に期待
学校ICTでDISの独自性際立つ
小峰●ダイワボウとの経営統合によるシナジー効果も検討していきたいと思います。統合後間もないのでまだはっきりと見えない部分も多いのですが、ダイワボウグループには電子機器のアセンブリから保守サービスの受託ノウハウを持つ工場などもあり、また導電性樹脂などの素材提案から設計・試作に至るまでの提案ができるなど、従来とは異なる機軸での検討も可能です。さらに中長期的には、生産・市場の両面で国際戦略を展開してきたダイワボウのノウハウが、今後DISが国際戦略を考える上での大きな戦力となります。これらはほんの一例ですが、新たな価値を創造するという意味で、経営統合によるシナジー効果は大きいと感じています。

猪狩●現在、経済危機対策の一環として学校ICT環境整備事業が進行中ですが、この攻略において、マーケティング部が重要な役割を果たしています。当社の営業拠点や地域の販売店や官公庁からの情報を収集・分析し、活動プロセスの可視化、および最適化を促す機能を担っております。例えば、地域特性や販路の分析、メーカーマッチングなど多角的に分析して効率的な営業活動が実現できるよう支援しております。このような実戦的情報戦略は、今までにない取り組みとして注目し、期待もしています。これは全国に90拠点を持ち、iDATENというBtoBネットワークを完備し、かつマルチベンダーとして顧客に接する弊社ならではの戦略といえるでしょう。メーカーには入手しがたい“情報力”を持つことこそが、弊社の魅力アップにつながっており、ディストリビューターの今後の方向性にもつながると感じています。

─ありがとうございました。販売推進本部とテクニカル推進本部が車の両輪となって、DISの営業部隊をしっかり支えられるよう、期待しております。
 
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