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from DIS
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-2012年9月号-
デジタルサイネージの世界に革命児が登場
あなたにささやく看板「サウンドサイネージ」
デジタルサイネージの世界に革命児が登場した。デジタルサイネージといえば、コンテンツをいかに的確に印象強く表示するかが大きなテーマであり、コンテンツの描画つまり視覚が前提の世界だった。しかし人間には五感がある。視覚と並ぶ重要な感覚である聴覚を利用しない手はないとの発想を基に実用化したのが、音のサイネージ「サウンドサイネージ」である。
 
人間は視覚と聴覚によって文化を形作ってきた。この二大感覚による相乗効果は言うまでもないが、近年普及が進むデジタルサイネージについては、何故か音声は片隅に押しやられた存在であった。その原因としては、デジタルサイネージそのものが看板や広告塔など視覚に訴える表示メディアからの発想であることや、大量生産によって低価格化が進む大型フラットディスプレイの新たな需要先が必要であった提供側の都合もある。さらに、音を聴いて楽しむオーディオという分野が、技術の進化とともにマニアを中心とする閉鎖された世界に収斂してきた歴史とも無縁ではなく、オーディオと言えばいかに原音に忠実であるかが唯一最大の目的であるとの認識が現在も通用している。

しかし当然のことながら、音を生成する技術は一部オーディオマニアのものだけではなく、技術が進化すればするほどその可能性は広がる。この発想の基にヤマハが開発したのが薄膜軽量柔軟(Thin-Light-Flexible=TLF)素材によるTLFスピーカーである。開発当初からその大きな用途として音声によるサイネージ需要が強く意識されており、ヤマハはこれをサウンドサイネージと名付けて昨年末に発売した。

このサウンドサイネージの可能性に着目したのがカンボウプラス(大阪市中央区)で、今春からヤマハの販売パートナーとしてサウンドサイネージの販売を本格化した。カンボウプラスがサウンドサイネージの可能性に期待する最大の根拠は「TLFスピーカーを売り場に設置し、音声訴求の有無で買い物客の売り場行動にどのような影響が生じたかを調査(DNPメディアクリエイト調査)した結果、明らかな効果があった」(カンボウプラス製品部サイングループ中村文明氏)からだ。2店舗計2,589 人の来店者への調査の結果、音声を出すサイネージに目を向けた人の数は、音声なしに比較して約7 倍、売り場への視認性は1.6 倍、売り場への立ち寄りは1.7 倍という効果があったという。

7月25〜26日に札幌市で開かれた「DISわぁるどin 北海道」においても、サウンドサイネージが大きな話題を集めた。中でも来場者が一様に感心したのがTLFスピーカーの指向性の強さである。スピーカーの前方で音が平均的に聞こえるのではなく、スピーカーのサイズ内にいれば遠方であっても音の減衰が少ないことが最大の特徴である。実際の体験を述べると、TLFスピーカーのサイズ(展示はB1タイプ)内にいる限り、このサイズをそのまま遠方に並行移動したどの位置でもTLFスピーカーの音が聞こえる。イベント会場の雑踏の中で5メートルほど離れた通路の向かい側のブースにいても音声は明瞭に伝わる。そして聞こえる音の大きさは、耳をスピーカーに近付けても5メートル離れてもさして違いはない。つまりサウンドサイネージには最適のスピーカーであることは間違いない。

しかし「薄膜柔軟という構造上の制約は当然あり、低音の再生は難しい。つまり原音を忠実に求める用途には適さない。だからこそ従来は見えなかったTLFスピーカーならではの需要が開拓できると考えている」(カンボウプラス中村氏)。この新たな需要開拓に向けて、当面はサウンドサイネージにその突破口を求めることになる。

TLFスピーカーが実現するサウンドサイネージの世界を整理すると「耳元で話しかけるように聞こえる。遠くからでも良く聞こえる。正面からしっかり聞こえる」(ヤマハ・サウンドネットワーク事業部花村洋一郎氏)ことに尽きる。また音声以外のTLFスピーカーの特徴は、「1.5mmという薄型で、柔構造で曲面でも利用でき、最大20枚を連結可能で、施工や絵の張り替えが簡単」なことである。

なおカンボウプラスでは、サウンドサイネージの威力を実際に体験してもらうため、お試しデモキットの無償レンタルを実施している。貸出期間は最大7日間で事前予約が必要。申し込みは電話03-3661-5581まで。

また、9月からダイワボウ情報システムでも取り扱いを開始、全国展開することとなった。

▲「DISわぁるどin 北海道」で展示された「サウンドサイネージ」
 
 
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