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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2013年1月号-
2000人超の来場者で反響呼んだ「DISわぁるどin北九州」
進化し続ける環境の中で現実的かつ最適なIT活用を提案
刻一刻と進化を遂げるITの世界では、最先端ITといえども導入した時点から風化が始まるというジレンマの中、ユーザー企業はどのようにして現実的かつ最適なITの活用を目指すのか。昨年11月20、21日の両日、福岡県北九州市で開催された「DISわぁるどin北九州」では、数多くの最新技術や製品を紹介しながら企業の現実に即した最適のITを浮き彫りにしたことで、2,000人を超す来場者から大きな反響を得た。「IT未来ストーリーへの架け橋」を謳った今回の「DISわぁるどin北九州」をレビューする。
 
 
 
 
鮮度の高い技術を紹介しつつ他社との違いを鮮明に打ち出す
今回の「DISわぁるどin北九州」は、7月に札幌で開催された「DISわぁるどin北海道」から約4カ月を経ての開催となったが、このわずかな期間にも進化し続けるIT環境を反映しながら、製造業を中心に日本の産業界を牽引する北九州という地域性を踏まえたイベントとなった。展示会場はグラフィック・プリンティング、ストレージ・仮想化、PC・サーバー、ソフトウェア、教育ICT、DISグループ、ネットワーク・セキュリティ、ペリフェラルの8つのゾーンに大別され、出展各社の内容が融合し合いながら今後のITを予感させるイベント構成が特徴だ。
 
グラフィック・プリンティングゾーン
会場近くに設置されたグラフィック・プリンティングゾーンでまず目に付くのは、大型ディスプレイを複数組み合わせたマルチ大画面表示である。マルチ大画面については過去の「DISわぁるど」で何度も紹介されているが、最も鮮度の高い技術を紹介しつつ他社との違いを鮮明に打ち出す展示手法が今回の大きな特徴である。三菱電機を例にとると、描画品質や補正回路のアピール以外に、マルチ画面を構成する各ディスプレイがいつでも簡単に取り外せるハンガーマウントユニットによるメンテナンス性の良さをアピールした。マルチ大画面表示装置が普及する中、実際に使う中で重要となるメンテナンス性に着目したことで独自性を高めている。“マルチ大画面は、どのメーカーも同じで違うのは価格だけ”という時代は過去のものとなった。

マルチ画面ではないが、60〜80型の大型ディスプレイにタッチパネル機能を付加したのがシャープの「BIG PAD」で、今回のイベントにおける各社の実演などでも活用され威力を発揮した。ディスプレイに描画された画像に指でマークやコメントを書き加えるなど電子黒板の進化型という紹介だが、タブレットPCを超大型にした感覚の使い勝手がシャープの独自性を感じさせる。教育ICTゾーンで帝国書院が「デジタル教科書」を紹介したが、大画面に描画した地図に新たな情報を書き加えていく実演など「BIG PAD」による訴求効果も大きかった。

大型ディスプレイ装置の中では異色ともいえたのが、東芝情報機器が参考出品したスクリーン投影指示装置だ。PC画面をスクリーンに投影し、スクリーンの前で動かした手の影をカメラが読み取ってPCを操作するというもので、カーソルを動かしたりクリックしたり画面をスクロールしたりと、画面への直感的な手の動きでマウスと同じPC操作ができる。商品化にはまだしばらく時間がかかる様子だが、「誰もが使える普及価格での商品化を目指している」(東芝情報機器)とのことで、講演用途を中心に期待が高まっている。
 
▲三菱電機マルチスクリーン
▲BIGPADでデモする帝国書院
 
▲東芝情報機器参考出展
▲テックウィンドSSD
 
ストレージ・仮想化ゾーン
ストレージ・仮想化は企業にとって関心の高いゾーンだが、今後の企業システムを考えるという大きなテーマ以外に、クライアントPCへのSSD採用という身近な需要を対象にしたブースも人気があった。SSDが普及しつつあるとはいえ、ストレージは現在もHDDが主流である。第一の理由は価格差によるものだが、HDDに比較したアクセス速度の速さ以外のメリットが意外に知られていないことも要因のひとつだ。「アクセスが速いことはもちろん、可動部分がないため衝撃に強く、対衝撃性が重視されるモバイルユースには最適。さらにほぼ半導体デバイスのみで構成されているため、平均故障間隔でもHDDに比べて約2倍の信頼性がある」(テックウィンド)とSSDの信頼性を強調する。現在の売れ筋は120GBタイプだが、ビット単価では240GBタイプが最安とのことだ。

レッドハットはこの夏に発売した分散ストレージ・ソフトウェア「Red Hat Storage」の紹介に力点を置いた。「Red Hat Storage」は、昨年同社が買収したGlusterのGlusterFS技術を採用して低コストで大容量ストレージを実現するソフトだが、一般的な物理サーバー以外に、「Red Hat Enterprise Virtualization」「VMware vSphere」の仮想マシン上でも動作する。またAmazon Web Serviceの「Amazon EC2」向け仮想アプライアンスも用意され、エンドユーザーだけでなくクラウドサービスベンダーなどの利用も期待されている。

高信頼ストレージで知られるEMCは今回、ストレージの専門スキルが不要なハイスペック・エントリー・ストレージであるVNXeシリーズにポイントを置いた。ストレージ技術者のいない企業向けに開発されたユニファイド・ストレージとして簡単に運用できることがアピールポイントで、EMCにとって中小規模ビジネス層を開拓する戦略商品としての位置付けである。DISとのパートナシップが威力を発揮する商品分野でもあり、簡単操作のハイスペックストレージとして中小企業はもちろん大手企業の部門マシンとしても期待されている。
 
▲レッドハットのストレージソフト
▲EMCのエントリーストレージ
 
PC・サーバーゾーン
PC・サーバーについて最近は話題が少なくなったが、水面下では日進月歩の進化が絶え間なく続いている。各種ペリフェラルからネットワーク機器、高性能エンタープライズマシンに至る幅広い品揃えを誇るHPは総合力をアピールする中、一体型ワークステーション「Z1」の登場で注目を集めた。スマートフォンやタブレットPCをはじめとする小型軽量のモバイルデバイスが話題を独占する中、27インチの液晶ディスプレイを格納した一体型ワークステーションはひと際目立つ存在で、重量は20kgと持ち運ぶにはかなりの体力が必要だ。重厚長大のワークステーション「Z」シリーズが初登場したのは2009年で、その後モデルを追加しながら今年発売されたのが「Z1」である。27型の液晶パネルに、XeonプロセッサやQuadroグラフィックスコントローラーなどハイスペックパーツを搭載、これらをモジュール化して組み込むことでメンテナンス性を高めている。一般的なクライアントPCとは一線を画したハイレンジのワークステーションとしてユーザー層は限られるが、他に競合機種も見当たらない独自商品として君臨する。タブレットPCなどのモバイルデバイスにも積極的なHPだが、このような重厚シリーズにも手を抜くことなく開発を続ける企業ポリシーが垣間みえる。
 
▲HPの一体型ワークステーション
▲エアーのプリンティングソリューション
 
ソフトウェアゾーン
ここ数カ月の技術進化を如実に反映している点では、ソフトウェアも同様だ。DBテクノロジーを基盤としてセキュリティや仮想化など先端テクノロジーにいち早く取り組んできたエアーは今回、アプリケーションの仮想化環境構築ツール「PropalmsTSE」およびプリンティングソリューションを紹介した。これらの商品はお互いに絡み合いながら新たな需要を開拓していることが特徴で、例えば仮想化環境の構築による印刷速度の遅延をカバーするためにプリンティングソリューションが必要となり、さらに印刷物に対するセキュリティを確保するために「印刷ログ監査」を開発するなど、企業ITの盲点となる分野を手がけるという独自路線が特徴だ。2012年末の発売を予定している「印刷ログ監査」は、印刷ログを一元管理することによって印刷物からの情報漏えいを防止すべく開発した商品である。印刷イメージの保存と照会、印刷内容のテキスト検索、印刷情報のQRコード化による印刷者の特定、印刷IDによる文書管理などの機能を持つ。紙媒体から情報が漏えいした場合には打つ手がないという現状を打破するソリューションとして注目を集めている。

オラクルといえばデータベースを連想するが、今回オラクルはデータベース・アプライアンスなるハード商品を強力にアピールした。オラクルによるサンの買収が完了したのは2010年1月だが、サンのハードにオラクルDBを組み込んだアプライアンス商品「オラクル・データベース・アプライアンス」を投入したのは翌2011年の末である。ハードにDBソフトを組み込んで1ボックスとしたこの商品は話題とはなったが、基本的にソフトビジネスひと筋で進んできたオラクルにとってはやや勝手が違うビジネスであったことは事実である。しかしアプライアンス投入後1年を経過して商品としての認知度も高まり、さらにハードビジネスにも慣れてきたことから、今回はアプライアンス商品を前面に出しての出展となった。このアプライアンスの最大の魅力はDB処理のパフォーマンス向上にあり、オラクルの資料によると、4CPU(24コア)サーバーでオラクルDBを可動させた場合に比較して、2コア設定のアプライアンスによる処理時間は4分の1になると報告されている。

ソフトウェアではVMwareの出展も注目される。世界の仮想化環境を牽引するVMwareについては「DISわぁるど」でもすでにさまざまな紹介が行われてきたが、VMware社の出展は今回が初めて。このたびDISが日本におけるVMwareの3社目の販売代理店となったことから初登場となった。仮想化の世界では断然のシェアを誇るVMwareだが、「全国市場を考えると仮想化の本格普及は実はこれから」というのが同社の見方である。大手を中心に普及が進む仮想化だが、企業の圧倒的多数を占める中小規模ユーザーに浸透してこそVMwareは普及期に入るとの判断で、「DISの全国拠点網による販売力がVMwareの普及に果たす役割は大きい」との期待を述べている。エントリー向けに中小規模ビジネス用のオールインワンパッケージ「vSphere Essentials (Plus)」を用意しており、この全国拡販に向けてDISに期待するところは大きい。
 
ペリフェラルゾーン
ペリフェラルゾーンではメディアメーカーとして知られるイメーションがストレージをアピールした。注目されるのは、テープカートリッジと同様の手軽さで扱えるリムーバブル・ハードディスク「RDX」で、サスペンションに支持された耐振動構造で1mの落下にも耐える強度を持つ。このRDXドライブ・カートリッジを活用するバックアップシステムが「RDXドッキングステーション」である。さらに、RDXドライブを搭載したNAS「データアプライアンスT5R/R4」があり、データのバックアップまで1台でこなすオールインワンNASとして注目される。メディアメーカーのストレージ参入として注目されているが、テープ同様の手軽さで取り扱えるリムーバブルストレージRDXを基幹デバイスとしているところが、メディアメーカーならではの戦略であるようにみえる。
 
▲オラクルのデータベースアプライアンス
▲VMware
 
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