閉じる

from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2013年9月号-
「DISわぁるどin山形」
視て!聴いて!触れて!体感!!やまがたIT Summer2013
 
DISわぁるどin山形「視て!聴いて!触れて!体感!!
やまがたIT Summer2013」が7月17、18の両日、山形国際交流プラザ「山形ビッグウィング」で開催された。7月18日は山形地域における記録的豪雨という悪条件にもかかわらず、2日間の来場者総数は1702名と盛況を見せ、DISわぁるどに対する期待の大きさを窺わせた。
 
 
実践の中で有効に活用するための提案を
今回の「DISわぁるどin山形」は、PC・モバイル、AppleSolution、フレキシブルワークスタイル、DISグループ、サーバー・ストレージ・仮想化、ソフトウェア・ペリフェラル、教育ICT、表示装置・サイネージ・プリンタ、ソリューション、ネットワークセキュリティというゾーン構成に計111社が出展、最新の技術とその活用について紹介した。出展各社ともに、最新技術および自慢のプロダクトを紹介するだけでなく、実践の中でどのように有効活用するかの提案に力点を置くようになった。今回の「DISわぁるど in 山形」ではその傾向がさらに強まり、より実践的なICTイベントとしての評価が定着した。

WindowsXPのサポートが来年4月に終了することに伴うさまざまな関連需要が発生しており、XP環境で蓄積したさまざまなプログラムやデータを新OSへと移行するためのソリューションもその一つだ。移行ソリューションに頼らずともすべてを移行することは可能だが、複雑化した既存のPC環境を正確かつ迅速に新OSへと移行する手間と時間を考えると、移行ソリューションへの関心が高いのは当然だ。この移行ソリューションには、個人ユースを対象としたソフトから、NASなどのハードとバックアップソフトを組み合わせた企業向けソリューションまでさまざまな商品があり、今回はこれらを一堂に比較検討できる場としても評価が高い。

 
  カスペルスキー
環境の変化に対応したより実践的な対応という意味では、各種セキュリティソリューションの中でも今回はスマートフォン対応のアンチウィルスソフトが注目された。PC環境におけるアンチウィルスソフトの重要性は今更言うまでもないが、ここ数年で一気に普及したスマートフォンについては各ベンダーともその対応が後手に回った印象は否めない。しかし今回、有力ブランドが一斉に対応商品を紹介したことによって、スマートフォンのセキュリティ環境も充実してきたことを感じさせる。しかしウィルス対策ソフトは、各ベンダーによるプロダクトの違いが一般ユーザーには極めてわかりにくいことが難点で、スマートフォン対応プロダクトにおいてもこれは同じだ。
 
仮想サーバーが各企業に浸透した今、各サーバーを接続するネットワーク機器を仮想化する動きが強まっている。日本ヒューレット・パッカードではIRF(Intelligent Resilient Framework)と称している仮想シャーシ技術は、複数のスイッチを1つの論理シャーシ型スイッチとして仮想化することによりシンプルなネットワークを実現するものだ。論理的に一つのネットワークとしてまとめることによっ て、冗長化についても簡素化・効率化が可能になり、障害を想定した予備スイッチを無駄に遊ばせることなく活用でき、また障害時の経路切り替え速度が大幅に向上する。ネットワーク大手として知られた3Comを3年前に買収したHPが得意と
 
  仮想シャーシー技術
する技術だが、シスコの大型プロダクトでも従来から採用しており、アライドテレシスをはじめとする国内ベンダーも積極的にプロダクトに組み込んでいる。

ネットワーク技術者以外にはさほど知られていない仮想シャーシについて、一般ユーザーにもわかりやすく解説したことで、サーバー仮想化の次はネットワークを仮想化する時代になる-と来場者に印象付けた。
 
教育ICTの体験型模擬授業が注目を集める
10のゾーンから構成された今回の展示会場の中でも、来場者の大きな関心を集めたのが「教育ICTゾーン」で、中でもゾーン中央に配置された体験型模擬授業「School Innovationセミナー」は今回のハイライトの一つとなった。一人1台ずつ用意されたタブレット端末を利用して模擬授業が行われ、その内容もきわめて実践的かつ馴染みやすいように工夫されており、参加者の反応は予想を上回るものとなった。

今回のDISわぁるどでは、特別講演として放送大学教育支援センターの中川一史教授による「教育におけるICT活用の現状と今後について」が行われ、その中でさまざまな事例が紹介されたが、「講演を聴いた上で模擬授業を体験すれば、教育関係者ならずとも教育ICTの現状と今後について相当に理解が深まる」とはある参加者の感想だ。

教育ICTゾーンにはさまざまな企業が14のブースを展開したが、「ごく普通の教室で誰もが使えるようなICTを提案する」(DIS)姿勢が共通している。デジタル教科書では定番となった企業以外にも、教育専門ではないが当面の突破口を教育に求めるという企業が積極的に教育市場に進出しており、これも教育ICT活性化の要因となっている。
 
着実な進化を遂げる電子黒板
今回注目されたのが大型表示装置としての電子黒板である。デジタルサイネージの普及に伴い、商品のバリエーションも一気に拡大した。電子黒板そのものは決して目新しい商品ではないが、実は技術的にも奥深く市場的にも大きな広がりを持つ魅力的な商品である-ことが今回のDISわぁるどで浮き彫りになった。

黒板への板書をシステム側が判断する技術については、実用的には3種類の手法に大別することができる。まず一つは、黒板から一定の距離をおいてカメラやセンサーを設置し、ここでキャッチした情報を分析してマーカーの位置情報をキャッチしてこれを映写するというものだ。もう一つは、描画パネルの外周の縦横に細長い赤外線センサーを配置し、専用マーカーの動きを縦と横からXY座標として把握するというものだ。さらに一つは、描画パネル自体に位置センサー機能を持たせてマーカーが触れた信号をそのまま位置情報として入力する方式だ。

各方式にはコストをはじめ操作性、反応速度、精細度など一長一短があり目的ごとに最適な手法は異なるが、今回は各方式の特長を最大限に発揮する提案が行われた。少なくともDISわぁるどに関する限り「電子黒板は便利だから導入しましょう」という姿勢は過去のものとなり、「この電子黒板の特長を最も有効に活用できる使い方とは」という提案姿勢が多くのベンダーに共通している。

今回初登場した携帯型電子黒板「mimio」は、世界市場ではすでにかなりの実績を持つ商品である。専用マーカーとそこから発信された信号をキャッチする携帯型位置センサーだけで構成する電子黒板である。PCはもちろん、スクリーン、プロジェクターなどが別途必要になるので、コストパフォーマンス的には他の電子黒板に比してどれほどコスト安になるのかは不明だが、重量約300gという位置センサーと専用マーカーさえあればどんな黒板や壁でもたちまち電子黒板に早変わりする魅力は大きい。

電子黒板の中で最も普及しているのがプロジェクター方式で、黒板に画像を映写するプロジェクター内に位置センサーを組み込むことによってマーカーの動きをキャッチする。先ほどの携帯型と同様、黒板そのものは何でも良いので、コストの殆どはプロジェクターということになり、コストパフォーマンスの高さが売り物だ。今回は日立ソリューションズ、ソニーマーケティング、エプソンなどがプロジェクター方式による電子黒板を紹介した。

液晶画面の縁にセンサーを取り付けることによりマーカーの正確な位置情報をXY座標として取り込んでいるのがシャープエレクトロニクスマーケティングの「BIG PAD」で、これは電子黒板という名前ではなく「タッチディスプレイ」として紹介されている。描画する板面そのものが液晶なのだから黒板ではないことは確かだが、一般的には電子黒板の高級バージョンとして知られており、各種展示会を支える定番商品として知名度は高い。

位置情報の正確性では、パナソニックが紹介したインタラクティブプラズマディスプレイだ。素子そのものが発光するプラズマディスプレイでは、「プラズマ光検出方式」によって手書きマーカーの高精度で正確な位置情報を素早く検出できる。プラズマの発光を画素単位で検出するため、キャリブレーションが不要で、現在のところ最も正確な位置情報把握であることは事実だ。コスト面ではプロジェクター方式電子黒板などとはまだかなりの開きがあることは事実だが、電子黒板の方向性として大きな期待が寄せられている方式ではある。
 
DISわぁるど in 山形 基調講演
『革新的なワークスタイルとインテルの戦略』
〜顧客中心への原点回帰〜
技術は人に使われてこそ意味を持つ
基調講演として行われたインテル・宗像義恵副社長による「革新的なワークスタイルとインテルの戦略」は、インテルの軌跡を成功談として紹介するのではなく、内部の人間として主体的に関わった体験や反省を踏まえながら今後の更なる成長を遂げるにはどうすれば良いのかという内容で、魅力的な講演となった。その概要を紹介する。

まず今から30年前に私(宗像副社長)がインテルに入社した要因について、MPUという素晴らしい技術を牽引する企業であり、この素晴らしい技術によって世の中が便利に楽しくなるに違いない、だから自分もぜひこの仕事に参加したい--ということだったが、この思いは現在も全く変わっていない。

インテルのビジネスの中で、世界のPC業界の方向性を決する大きな契機となったのがIBMの5150であった。当時のIBMは汎用機の世界ではすでにガリバーだったが、PCに関してはアップルをはじめとする先発メーカーを追う後発組だった。この5150に組み込むべきインテルCPUに対するIBMの要望は、過去の資産を継承できるCPUを廉価でしかも短期間で作れというものだった。そこでインテルは当時の主力CPUであった8086の後継CPUとして、内部は16ビットながら8ビット互換の最新CPU8088を開発、これを組み込んだPCによってIBMはPCビジネスにおいても牽引役を果たすようになった。この話は業界内外で広く知られるところだが、このビジネスを成功に導いた最大のポイントは、当時のインテルの徹底した顧客中心主義であった。IBMをサポートするインテル側担当チームの徹底した顧客主義は半端なものではなかった。

しかし成功例より失敗例の方が多いこともまた事実だ。1996年に失敗があり、この失敗に凝りることなく10年後の2006年に再び同じ失敗を経験したが、その最大の原因は、プロダクト・アウトの発想によるビジネスでお客様の声を真摯に聞かなかったことにある。インテルが世界に先駆けたタブレット端末MID(Mobile Internet Device)が全く売れなかったのも同様の理由だ。技術力に自信を持つメーカーは往々にしてプロダクト・アウトの発想に陥る傾向が強い。この反省を踏まえて、インテルは顧客中心主義を宣言する。顧客中心とは、お客様の声を聞いてこれに応えることとスピード感がすべてだと感じている。10億台さらには100億台へと成長する今後のモバイルデバイスにおいても、プロセス技術、キャパシティ、信念という3要素を武器にインテルは世界をリードする。「技術は人に使われてこそ意味を持つ」(ロバート・ノイス)のだから。
 
特別講演「教育におけるICT活用の現状と今後について」
放送大学 教育支援センター 中川一史教授
平成22年度より小学校10校で開始された「フューチャースクール推進事業(総務省)」が2013年3月を持って3か年の実証研究を終了しました。その成果や事例を踏まえ、東日本実証エリアの座長である放送大学 教授の中川一史氏に「教育におけるICT活用の現状と今後について」というテーマでご講演いただきました。教育現場のICT化や利活用の現状と今後に加えて、児童・生徒がタブレット端末を活用することによる授業の変化や学習効果、また環境整備の考え方など、聴講者の期待に応える内容として大きな評価を得ました。
 
過去記事一覧
DISブランド・イベント全開、「地域密着営業」に拍車
-2013年9月号-
「DISわぁるどin山形」
視て!聴いて!触れて!体感!!やまがたIT Summer2013
111ベンダーの最新ITテクノロジーに熱く燃える
販売店、メーカーとの三位一体で地域の新規ビジネス創出
出展内容のお知らせ
野上社長「全社員の成長で組織力の更なる強化を」
DIS School Innovation Project シリーズ
「DIS ICT EXPO 2013 Winter in 東京」
震災復興を通し東北の市況底上げ目指す
進化し続ける環境の中で現実的かつ最適なIT活用を提案
地域密着営業で東名阪の都市圏が牽引
DIS School Innovation Projectを発表!
出展内容のお知らせ
講演会・ITビジネス
セミナーのご案内