閉じる

from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2012年5月号-
トータルソリューションを武器に「キャプティブクライアント」戦略を推進
DISグループ企業トップに聞く「2012年の課題と展望」B
ディーアイエスソリューション株式会社 小川 仁司社長
ディーアイエスソリューション株式会社
小川 仁司社長
DISグループにあってソリューション事業を担当するディーアイエスソリューション(略称DSol)は、厳しいビジネス環境の中で着実な成長を続けています。回線敷設から手掛けるネットワーク構築、システム構築、さらにはモバイル通信端末活用に至るトータルソリューションを武器に、「キャプティブクライアント」戦略を推し進める小川仁司社長に、昨年度の総括と今年度の取り組みを聞きしました。
 
大災害を経験しBCPへの関心が高まる
東日本大震災に引き続く津波や原発事故、さらにはタイにおける大洪水など、昨年は大変な年でした。世界経済においても、ギリシャの財政危機を発端とする欧州債務危機や米国経済回復の遅れなどが重なり、予断を許さない状況が続きました。しかし今年に入ってようやく回復の兆しが見えはじめ、超円高や株安などもピークを過ぎた感があり、先行きに期待が持てる状況になりつつあります。

昨年の東日本大震災の影響については、当社ビジネスにもさまざまな形で表れています。しかし大きな被害を受けたことで日本のIT市場全体が縮小するという大方の予想ははずれ、大災害の際にもビジネスを継続できるITシステムへの需要が高まりました。BCPについては当社も従来から積極的に提案してきましたが、お客様の反応は今ひとつという状況が続いていました。しかし津波や原発事故という大災害を身近に体験したことによって、BCPに対するお客様の反応は大きな変化を遂げました。いつやって来るかわからない災害だからこそ今対策を講じる必要があるということで、BCPへの動きは企業規模を問わず活発になっています。

その一環として需要が高まっているのがデータセンターです。サーバーを自社で抱えるにしろ外部にアウトソーシングするにしろ、企業の根幹を支えるデータは常に安全な形で保管しておく必要があります。企業のIT活用においてこれは常識ですが、実際に「いつ災害が生じても大丈夫」という企業は多くありません。しかし大震災の被害を目の当たりにして、データの安全な格納庫としてデータセンターの存在がクローズアップされています。

このようにBCPの見直しを契機にIT需要が活発化した市場環境もあって、DSolの2011年度実績は目標を100%達成することができました。被災されたユーザー企業様に対しては当社もできる限りのご支援をさせていただきましたが、結果的にIT市場は縮小することなく現在に至っています。

BCPとはつまるところリスク分散です。システムが本当に強固であるためには、どのような事故や災害に遭遇しても事業を継続できるためのリスク分散が必須となり、分散したリスクはネットワークによって一体化されます。つまりBCPにはクラウドが不可欠の要素となります。企業におけるデータセンターの見直しやデータの格納手法の見直し、さらにはデータ移行作業など、すべてはクラウドに絡んでいます。そしてクラウドは、当社の経験と実績が大きな力を発揮する分野なのです。

DSolはネットワーク構築における総合力に最大の強みを持っています。物理回線の敷設作業からネットワーク構築、アプリケーション開発、さらにはシステム連携まで、ことネットワークに関するあらゆる要望に応えることのできる総合力が自慢です。有線・無線を含むさまざまなネットワークを構築してきた実績は、クラウド時代において大きな戦力となっています。

企業の電話もIP化が進んでおり、昨年度はIP-PBXが大きな伸びを見せました。話題的には一段落した感のあるIP-PBXですが、中小企業においてはこれからが本番です。本社や支社を移転する際にIP-PBXに移行するケースが多く、またサーバー仮想化についても中小企業需要が活発になってきました。サーバー仮想化については、当社は3年以上前から積極的に取り組んでいますが、ここにきてその成果が表れてきた感があります。
 
高速モバイル通信が大きなポイントに
DSolの昨年度のビジネスはBCP、クラウド、仮想化という3要素が牽引役を果たしましたが、これら3要素のすべてに絡んでいるのがワイヤレス通信網です。「いつでもどこでもだれにでも」というユビキタス社会を実現する上で不可欠の要素となるモバイル通信については、WiMAXをはじめとする高速大容量通信網が急成長を遂げています。今年度は、これらモバイル通信網を活用してどのようなメリットが得られるのかという具体的な提案を行っていきます。

モバイル端末についても、スマートフォンやパッドPC(アイパッド、スレートPC等)を使いたいという要望は多くの企業に共通しています。しかし実際にこれらを利用することでどのようなメリットがあるのか、またセキュリティの確保はどのようにして可能になるのかなど、実際に企業で実用化するには解決すべきさまざまな問題が残っています。昨年度は多くの企業がこれらのモバイル端末に大きな関心を寄せながらも、社内システムとの連携には至らなかったケースがほとんどで、今年度はこれらの需要が一気に開花すると見ています。

そこで今年度は、「コア技術分科会」をさらに積極的に展開します。コア技術分科会とは、技術動向を睨みながら、今後のニーズが増大する分野に向けて当社の技術を蓄積し発展させるためのマーケティング活動を行うもので、大容量データの格納法を考える大容量A分科会、大容量データの分析機能に取り組む大容量B分科会、RFIDの可能性を探るネットワークA分科会、スマートフォンやパッドPC(アイパッド、スレートPC等)の可能性を探るネットワークB分科会、ウィンドウズ分科会、BCP分科会があります。

最近の当社の成長を支えているのが、製販一体となったチーム作りです。営業が契約した案件を技術部門が請け負うという従来パターンを脱却して、営業と技術が一つのチームとなってお客様と折衝できるように組織改革を行いました。この製販一体のチームは、DSolのシステム受注に大きな戦力となるだけでなく、さまざまな要望に技術的な裏付けを持って対応できることから、お客様の信頼も高まっています。社員も新組織に慣れるに従ってビジネス効率も高まり、その成果が昨年度の実績につながっています。今年度も製販一体のチームを基軸に、多様化・複雑化するIT環境に対応していく所存です。
 
年間50回を超えるセミナー開催
さて今後の成長に向けて、従来顧客のさらなる深耕と新規顧客の開拓が必要です。新規顧客開拓に向けたDSolの基本戦略がセミナー開催です。企業ユーザーはさまざまな悩みや課題を抱えています。そこでテーマを明確にした技術セミナーを開催することで、そのテーマに関心の強い企業とコンタクトすることができます。最先端の技術をわかりやすく解説することによって、当社の技術力をご理解いただくとともに、これを利用する企業側のメリットについて考えるというもので、来場者の方々から高い評価をいただいています。

まずビジネスありきではなく、お客様が抱える問題を解決するためには何が必要かを共に考えていくというスタンスで、ご縁があればビジネスに発展することもあり、そうでないことも多々あります。昨年度はこのようなセミナーを年間50回以上開催しています。

最近のセミナーで人気のテーマはセキュリティ、BCP、スマートフォンなどです。これはすなわち、現在のユーザー企業が抱える課題にほかなりません。お客様が知りたい技術テーマをわかりやすく実践的に解説することによって、すぐには導入につながらなくとも、受講した企業から1〜2年後に声がかかるというケースも増えています。今年度もこのようなセミナーをさらに充実していく方針です。
 
技術セミナー
▲技術セミナー
 
「BYOD」にどう対処するか
企業ユーザーにとって今後の大きなテーマとなるのがBYODです。BYODとはBring Your Own Deviceを略した言葉で、「自分のデバイスを会社に持ち込む」ことです。私物のデバイスを仕事場に持ち込んではならないという従来の企業ITを抜本的に見直す動きで、数年前から米国などで注目されるようになり、最近は日本でも一部の企業が取り入れています。BYODの背景には、いつでもどこでもネットワークに接続できるスマートフォンやパッドPC(アイパッド、スレートPC等)の普及があるようです。これらの私物デバイスのほうが、企業から支給される従来型モバイル端末より高性能であることは珍しくなく、性能が高くしかも使い慣れた端末を使わせない方が不思議だということになります。さらに、端末の種類を問わずに利用可能なクラウド型サービスが普及したことも、BYODへの追い風となっています。

企業ITの今後に向けたBYODのメリットは明らかですが、企業ITにはセキュリティの確保という大きな課題があります。セキュリティ上の懸念があるからこそ、これまで私物デバイスの社内使用を禁止していたわけです。しかし私物デバイスを企業内でセキュリティを確保して安全に利用できれば話は違ってきます。最近はこのような私物デバイスのセキュリティを確保するさまざまな技術が実用化されたことで、私物デバイスをめぐる環境は大きく変わってきました。BYODにどのように対処するかが企業にとって今後の重要なテーマであることは間違いありません。

「キャプティブクライアント」、つまりお客様の心をしっかりとつかまえることが今年の大きなテーマです。お客様の心をしっかりつかまえるためには、まずお客様の実情を深く知る必要があります。そのためには泥臭い地道な不断の努力が何よりも大切です。地道な努力の上にこそ最新の技術成果が実ると信じています。
 
過去記事一覧
DIS School Innovation Project シリーズ
「DIS ICT EXPO 2013 Winter in 東京」
震災復興を通し東北の市況底上げ目指す
進化し続ける環境の中で現実的かつ最適なIT活用を提案
地域密着営業で東名阪の都市圏が牽引
DIS School Innovation Projectを発表!
出展内容のお知らせ
講演会・ITビジネス
セミナーのご案内
トポロジーの立場から科学を解く
あなたにささやく看板「サウンドサイネージ」
国内外から91社が出展、道内では最大級のIT総合展に
DISグループ企業トップに聞く
「2012年の課題と展望」D
DISグループ企業トップに聞く
「2012年の課題と展望C
出展内容のお知らせ
-2012年5月号-
トータルソリューションを武器に「キャプティブクライアント」戦略を推進
DISグループ企業トップに聞く
「2012年の課題と展望」B
DISが109人の新戦力迎えて入社式 野上社長、「意志」を持っての行動求める