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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2009年12月号-
「DISわぁるど四国 in まつやま」レビュー
四国・愛媛に舞い下りたグリーンIT&最新テクノロジー
ITの現状と方向性を浮き彫りに
単なる商品紹介に終わらない最先端ITの真髄を体験できる場
ダイワボウ情報システム(DIS)が11月5〜6日の両日、四国は松山市のアイテムえひめで開催した「DISわぁるど四国inまつやま」には、ITベンダー89社が出展、ITの現状と方向性を浮き彫りにした。四国の地に初めて舞い下りた「わぁるど」をレビューする。
 
「DISわぁるど四国inまつやま」のテーマは「愛媛に舞いおりたグリーンIT&最新テクノロジー」。四国地区初の開催とあって四国に密着したさまざまな趣向が凝らされる中、来場者の高い関心を呼んだのがプロダクトでは今話題の「Windows7」、サービスでは四国初登場となる「モバイルWiMAX」、システムでは各ベンダーの協力による「サーバー仮想化」、分野限定では「学校ICT環境整備事業ゾーン」だ。

本社SVゾーン 支店クライアントゾーン

Windows7についてはさまざまなメディアでその内容が伝えられているが、「TVや雑誌など報道を通じてのまた聞きではなく、マイクロソフトからナマの声を実際に聞きたい」という声に応えて、会場内のセミナー会場においてマイクロソフトによる講演「Windows7の全貌と最新機能」が行われた。今回のマイクロソフトの講演で注目されるのは、Windows7を知るという目的以外に、「すでにWindows7を導入して自分なりに判断した結果をマイクロソフトの話と照合してみる」という一歩踏み込んだ来場者が少なくなかったことだ。WindowsVistaの経験を踏まえて、ベンダーの話を鵜呑みにするのではなく、まず自身で確かめながら判断するというユーザーの姿勢が最近の特徴だ。

WiMAXアンテナ WiMAXお試しコーナー

マイクロソフトによるもう一つの講演「Windows7+Windows Server 2008 R2 が実現する次世代仮想化基盤」は、今回のフェアにおけるポイントの一つであるサーバー仮想化の話題として、展示ゾーンとの相乗効果が大きかった。

DISゾーンにおけるサーバー仮想化実践コーナーでは、Windows Server 2008 R2 に標準搭載されたサーバー仮想化基盤「Hyper-V2.0」が走る本社SVゾーンを核に、EMCブースの物理的大容量サーバーを活用し、Ciscoブースの各種ネットワークプロダクトを介して、MOTEXブースのネットワーク監視ツールで監視しながら、支店クライアントゾーンから仮想サーバーを活用するという、メーカー間にまたがる広範囲な実践デモが行われた。講演の内容がベンダーの協力による実践デモでその場で確認できることから、販売店、ユーザーの双方から大きな関心を呼んだ。

Windows7セミナー

話題のモバイルWiMAXのDISバージョン「DIS mobile WiMAX」は、モバイルWiMAXの四国初登場となるもので、アイテムえひめの展示会場壁面に基地局となるアンテナを臨時に設置して会場内のモバイルWiMAX端末とアクセスした。WiMAX端末はDISをはじめPCメーカーや周辺機器メーカーが提供し、常時数十台のWiMAX端末が駆動して来場者の要望に応えた。MAX40Mbpsとされる「DIS mobile WiMAX」だが、会場内での運用では1本のアンテナに多くの端末が一斉にアクセスしたことから、実効速度平均は下り14Mbps、上り3Mbpsという結果となった。しかし携帯電話とはレベルの違うスピードに来場者の評価は高く、「四国での本格サービスを一刻も早く開始して欲しい」との声が強く、UQコミュニケーションズによるエリア拡大への期待がさらに高まった。

学校ICT環境整備事業の一環として推進されている「スクール・ニューディール構想」は、地域の販売店にとって不況下における大きなビジネスチャンスだが、これに的を絞ったのが「学校ICT環境整備事業ゾーン」で、日本でも初の試みとなった。計13社がそれぞれ得意とする学校ICT向けソリューションを紹介したが、TV、電子黒板、プリンタ、ネットワークカメラその他さまざまなICT関連機器をどのように組み合わせて学校向けソリューションとして展開するのか、各ベンダーが自慢の技術とノウハウを披露した。電子黒板など目新しくない商品でも、これにデジタルTVやタッチパネル、プロジェクター、さらにはセキュリティソフトを組み合わせて教育分野でのヒット商品とするなど、さまざまな知恵と工夫で広がるビジネスを紹介した。

各ベンダーの展示内容を詳細に見ると、日本のIT環境に対応した展開の早さは予想をはるかに上回る。今年9月初旬に福島で開催された「DISわぁるどin福島」からわずか2ヵ月にもかかわらず、ベンダー各社の出展戦略にも着実に変化が生じている。できる限り地域に合った対応を心掛けるとともに、日々刻々と変化する環境に柔軟に対応しようとするベンダーの姿勢が最近の特徴と言える。

ボイスソムリエ

毛色の変わったシステム素材として来場者の興味を引いたのが、汎用的音声合成システム「ボイスソムリエ」(日立ビジネス)だ。日立製作所が20年以上にわたって取り組んできた音声合成技術を商品化したものだが、最初に商品化した1989年当時の音声と比較するとあまりの進化に驚かされる。音声合成も実用化の時代に入って久しいが、一つの技術に取り組んで地道に継続することの重要性を感じさせるプロダクトである。音声合成も話題性を卒業した今、簡単に使える高度な音声合成プロダクトとして着実な普及を見せている。

ネットワーク機器についても、大企業向けのハイエンドクラスから家電量販店で大量に販売される普及品までさまざまな商品が溢れかえり、差別化をアピールしにくい商品となったが、得意技があれば関心も高い。半径2kmまでのケーブル通信が可能なPoE延長xDSLモデム(日商エレクトロニクス)などがその例で、長距離のケーブル通信を必要としない一般企業ユーザーには無縁の商品だが、需要は確実にあるので、この需要にはまった商談については圧倒的な強みを発揮する。センタースイッチからリモートPoEアダプタ、さらにその先のPoE対応装置まで給電が可能なところがこの商品の売りで、2kmという長距離通信を可能にするだけに、競合商品はないに等しい状況だ。長距離通信と言えば今や無線が主流だが、有線にしかできない分野は当然あり、商社系ベンダーの一つの方向性を指し示す取り組みでもある。

学校ICT 得意技があればアピール効果は高い

Ciscoを頂点とするヒエラルキーが確立した感のあるネットワーク機器業界だが、Ciscoに正面から対決する姿勢を敢然と打ち出したのがアライドテレシスだ。現状では規模的にも商品ラインにおいてもCiscoの敵ではないとする見方が多い中、日本の中規模ネットワーク需要でCiscoに対抗すべく、エンタープライズ需要のコア・スイッチとして「CentreCOM x900シリーズ」を紹介した。「機能的にも品質的にもCisco製品に勝るとも劣らない商品ながら、価格的には約半額」とのアピールだ。四国は高松にサービス拠点を持ち、年内には松山に拠点を新設するなど、価格訴求にプラスした地域密着戦略でCisco攻略を目指す。

アライドテレシス 沖データ

オフィスには必須の商品ながら、目新しさのない商品という意味ではプリンタも同じ。キレイ、速い、安いはもはや常識で、利益源であったインクやトナーなどの消耗品についても、これらを節約するソフトがヒット商品となるなど、プリンタビジネスも厳しい時代に入った。この環境下で、インパクトドットの時代にマイクロラインで一世を風靡した沖データが主役に返り咲く新戦略を開始した。ビジネス複合機と銘打った新型プリンタ「COREFIDO」の今回のアピールポイントは「現場に愛を」。少々わかりづらいキャッチフレーズだが、要するにユーザーが安心して使えるということだ。構造的にはユニット化を徹底して、万一の故障の際にはユニット交換で素早く対応する。またサービス体制としては沖データが5年間の無償保証を行うなど、不況をバネにプリンタの古豪が復活ののろしを上げた。

以上、足早かつ断片的な「DISわぁるど四国inまつやま」のレビューとなったが、ベンダーが意識するしないに関らず、この1年間さらにはほんの数ヵ月で厳しい進化を遂げる出展社の姿勢が、来場者にとっては大きなメリットとなり大きな刺激となったはずだ。
 
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