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from DIS
月刊ITビジネス情報誌PC-WebzineからDIS関連情報をお届けしています。
 
-2009年5月号-
ITインフラ流通事業の中核企業として「より精度を高めたビジネスを推進」
DISの09年度営業戦略@ 営業部門統括の安永達哉専務に聞く
世界を覆う大不況の中、2009年3月期は全産業分野で厳しい決算となっています。右肩上がりで成長を続けてきたIT分野も例外ではなく、生き残りをかけた厳しい戦いが続いている。このような環境下、日本のITエコロジーを牽引する「グリーンIT宣言」やダイワボウとの経営統合など、積極的な施策により更なるビジネス展開での飛躍を狙うのがダイワボウ情報システムです。シリーズ連載「DISの09年度営業戦略」第一弾として、新年度から営業部門を統括し販売推進本部長も兼務する安永達哉専務取締役に、2009年度の営業施策を語っていただきました。
 
厳しい環境下、善戦の08年度事業
――昨2008年度を総括していただけますか。
安永専務(以下敬称略)●周知のように厳しい環境の中、当社はディストリビューターとしての生き残りをかけて「Distribution2.0」を推進してきました。地に足を付けて地道にビジネスを積み重ねるという基本の下に、新たな環境に見合った付加価値を追求することによって、なんとか前年度並みの実績を残すことができました。当初の目標から考えるととても満足できる数字ではありませんが、厳しさを増す一方の経済環境を考えると必ずしも悲観した数字ではありません。売上げの追求だけではなく、販売チャネルに対する物件取得支援や社員への資格取得支援など、当社と販売店様の営業のベースとなる個々の力量を強化することに注力した一年でもありました。
――今年度の営業部門における基本戦略をお聞かせ下さい。
安永●当社は日本のIT市場の拡大に比例して急成長を遂げてきたわけですが、ではこの市場が伸び悩んだときにはどうすれば良いのかという問いに、2つの考えを持っています。ひとつは、徹底したTCOの削減とその可視化。もうひとつはカスタマ−・フォーカス(販売店様のエンドユーザーに着目すること)です。ディストリビューターとしての戦略の基本はこの2点です。ディストリビューターとして特化することは決して落日のビジネスではありません。逆にいま業界には最も必要な存在であると考えています。徹底したローコストによる運営は、昨今の厳しい環境下において、仕入先、販売店様双方に大きなコストでのメリットをもたらします。TCO削減を追求することでそれが実現できると考えています。私たちの存在意義はいかに販売店様に儲けていただくかの追求であり、また仕入先と一体となって日本のIT業界を元気にするかであって、それを証明するために弊社がまず実践していく。これが重要だと考えています。
――その2点を実現するための施策についてはいかがでしょう。
安永●まず「DIS-NETII」(韋駄天と韋駄天EXを含んだ総称)という形で実現しました。これによって従来の支店単位での損益管理スタイルから、当社営業社員別、販売店様別の詳細な分析が可能となりワン・ツー・ワンで施策を落とし込む仕組みが整備できつつあります。この仕組みを駆使してどのようにカスタマー・フォーカスに結び付けるかは、社員の意識と工夫次第です。私のみるところでは、まだまだ十分に活用できているとは言えません。これを有効活用することによってコストを低減し、ビジネスの効率を最大化することが可能となります。最終目標は、仕入先と連動し販売店様のエンドユーザーのIT資産管理を実現することです。
 
「DIS-NETII」を最大限活用する意味
――具体的にお聞かせ下さい。
安永●当社の17,000社にものぼる販売店網を最大に生かし、不特定多数のエンドユーザーに販売店様を通してアプローチする という、メーカー戦略とは一線を画した営業戦略が基本です。そのためには、各販売店様のビジネスの実態を十分に把握しておく必要があります。例えば情報機器分野以外の本業を持つ販売店様の場合、本業の分野に確固とした販売チャネルをお持ちです。その販売チャネルを分析してそれに見合ったアプローチを行うなど、市場の大局的把握を基本とするメーカー戦略にはないアプローチこそが、ディストリビューターとしての弊社の役割であると考えています。そのために必要な仕組みを現在強化しており、今後も積極的なIT投資を含め、当社と販売店様との統合力強化を行ってまいります。
――DISならではの仕組みということですね。
安永●そう考えています。「DIS-NETII」は弊社創業27年間のビジネスノウハウの結晶です。その中で注目している機能の一つが「統合顧客パーソナルDB」です。営業のポイントとなるキーパーソンとのコンタクトを支援するもので、得意先のキーパーソンとの過去のコンタクト履歴が同席者に至るまで克明に記録されています。あるキーパーソンが、どの地域でいつ、DISグループの誰とどのような内容でコミュニケーションされたかなど一目瞭然で、キーパーソンと弊社営業担当者間を自動的に繋ぐ仕組みとなっており、その連鎖で新しいビジネスを誘発することも可能となります。営業担当はもちろん、弊社のトップ営業にも大きな威力を発揮します。さらに「顧客DB」についても、ひと味違っています。
――「顧客DB」とは。
安永●ひと言でいうなら日報の逆バージョンです。営業員にとって日報を書くのは面倒なものですが、当該の「顧客DB」を開いてその日の内容を簡単に付け加えるだけであれば大いに手間が省けます。「顧客DB」はコンタクトが発生するごとにその内容が追加されることになり、顧客商談情報は自ずと最新状態が反映されています。その情報を営業社員が上司と共有し、タイムリーかつ的確な処方箋を与えることを目的に開発しました。不必要な日報情報は排除され、個人の情報をチームの情報に変化させることで組織力の強化へと繋がり、情報が常に新鮮であることからその価値も高まります。仕入先、販売店様との情報共有という意味でも大きな力を発揮しています。お取引いただいている17,000社の販売店様とそのエンドユーザーに対してきめ細かい施策を効率良く落とし込んでいくには、直販を行わない当社しかなし得ないこのような仕組み、つまり仕入先、弊社、販売店様との合理的サプライチェーンが不可欠であると考えております。
 
コンシューマ部門はコーポレートを牽引するための
パーク拡大エンジン
――さて昨年度は、コンシューマ部門の健闘が目立ちましたが。
安永●確かにそうですが、当社にとってはあくまで全国90拠点を網羅するコーポレート部門が主力です。しかも私の見るところでは、現在のコンシューマビジネスは厳しく、大型商談が発生してもこれが永続的であることは難しく、不安定さが残ります。常にリスクを意識したビジネス展開が必要です。活況を印象付けるコンシューマ市場ですが、市況に大きく左右されるなど冷静に判断する必要があります。ただし勢いづいた市場であり、当社として重要な領域であることは間違いありません。
――昨年度よりコンシューマ市場でブレークしたネットブックPCの今後をどうみたらいいでしょうか。
安永●ネットブックPCが新たなジャンルとして昨年度の需要を牽引したことは事実で、ハードメーカーやソフトメーカーの思惑とも絡んで久々のヒット商品となりました。この商品が今後どのように成長するのかはなかなか興味深いところがあり、付加価値を求めるユーザー対応商品の登場など、すでに変化の兆しが表れています。昨年度はPC150万台を超えることが出来、ネットブックPCの30万台を除いても110%以上の台数伸長となりました。弊社の長年の悲願であった国内PC出荷台数ベースでシェア10%は超えると予測しています。余談ながらサーバーは既に10%を超えておりますので、今期は15%の壁を破ることを目指すつもりです。このように変化・拡大する市場に対して、弊社はどのように対応していくのか。今年夏からは本格的に「WiMAX」もサービスを開始します。これらの最新テクノロジーとマーケットを繋ぎ、ユーザーが本当に望んでいるIT環境を現実にする。弊社の腕の見せどころです。
 
インプリ・キッティング機能を強化
――付加価値機能強化を図るためテクニカル推進本部を新設するとともに、このほどインプリ・キッティング業務の拡大を目指してカスタマイズセンターを開設されましたが。
安永●本当にユーザーが望むIT環境の実現に向けた施策の一環です。品質の高い商品を提供するには、できるだけエンドユーザーに近い場所でかつ納品直前のキッティングやインプリメンテーションが有効です。そこでディーアイエス物流の関東センターで、弊社が責任を持ってキッティングやインプリメンテーションの作業を行います。ここで最終的にキッティング・インプリされた商品は、弊社が責任を持って安全・確実にユーザーにお届けします。これまでは基本的にはメーカーが所有している機能でしたが、現実的にはユーザーに近い弊社が最も適役です。なによりも、100万アイテム以上の全世界のIT関連商品を取り扱う独立系ディストリビューターならではの機能が発揮できます。複数メーカーの組み合わせによるコストダウン、性能アップ、最適化、そしてそれらの安定稼働を担保することが当社の強みでもあります。そこでこのたび、関東第3センターに800平方メートル(240坪)のカスタマイズセンターを新設しました。センターの運営はDIS物流が担当してDISテクノサービスが技術支援を行うなど、DISグループの総合力がベースとなっています。最終的にはDISチャネルに限らず、さまざまなメーカーからのインプリメンテーションとキッティングの需要に対応します。ここでいうインプリメンテーションとは、メーカーの依頼を受けたエンドユーザーが確定していない作業、キッティングとはエンドユーザーのための作業を指します。これら取り組みによって、メーカーのコスト削減と品質向上、スピードを補完し、ディストリビューターとしてのチャネル強化の一翼を担う予定です。
――4月からの新体制では、シスコ事業部もテクニカル推進本部に統合されましたが。
安永●ネットワークビジネスについては今後さらに強化する方針で、そのキープロダクトとしてCisco製品の重要性は変わりません。今後はCisco製品などネットワークビジネスをさらに推進すべく、当社のコアであるPC、サーバー、ストレージという大きな括りの中でCisco製品もアピールすることがベストと判断し、テクニカル推進本部に統合しました。ネットワークビジネスの更なる飛躍を目指しての組織変更です。
 
首都圏深耕はDISの最大課題
――具体的な地域戦略については、どう展開されますか。
安永●首都圏地区への一極集中傾向が更に強まる中にあっても、全国拠点展開による地域密着という弊社の基本戦略は全く変わりません。つまり90拠点を1拠点たりとも撤退しないという不退転の覚悟で、常々邁進しております。また厳しい商環境の中、最近の傾向として部長や支店長の運営方針が支店の成績を左右するケースが顕著となっており、部長、支店長の役割がさらに重要になっています。もちろん個人の力だけでは限界がありますので、これを組織力として高める仕組み作りも重要です。各営業部に配備された営業推進グループの再構築もその布石の一つです。
――首都圏市場の再編・深耕は昨年の大きなテーマでしたが、成果のほどはいかがですか。
安永●具体的には昨年下期よりスタートしたばかりで、これからです。しかし全国展開を行う企業として首都圏地区は何としてでも深耕しなければならない市場で、これは全国拠点展開という弊社の基本をなすビジネスモデルと何ら矛盾するものではありません。首都圏とエリアの関係は、ある意味コンシューマ部門とコーポレート部門の関係と似ております。首都圏市場におけるシェア伸長こそが、現在の全国拠点展開における最大の課題です。
――首都圏市場深耕は可能でしょうか。
安永●可能か否かではなく、弊社に残された唯一の広大な市場ですのでここを深耕する以外に道はありません。メーカー系販社や大手SI企業が多い首都圏では、これら企業との人間関係を含め、首都圏ならではの難しさがあることは承知しています。しかしこれを攻略してこそ、弊社の存在価値が飛躍的に高まると思っています。
――他の地域拠点展開については。
安永●先述の通り、全国拠点展開による地域密着営業は弊社にとってコアの部分であり、これを崩すことはあり得ません。地域拠点長や社員もその重要性は知悉しており、守り抜く覚悟は出来ております。確かに短視眼的にみれば、東名阪など主拠点のみに拠点数を極端に減少させ、ネット通販など高効率重視の空中戦営業を展開させることで当面は売上げの維持は出来、一時的には大きく増益するであろうことは理解出来ます。しかしそれが持続するでしょうか。また、その先の未来はあるでしょうか。私たちは今後、何十年と存続していかねばなりません。この不況下、(全国展開は)コストが重くのしかかってきますが、「DIS-NETII」(空軍)と90拠点(陸軍)のハイブリッド戦略こそが、ディストリビューターであるDISの立ち位置と認識しています。ここが踏ん張りどころです。
 
時宜を得た「グリーンIT宣言」、一段と強化
――昨年央から積極展開されていますグリーンIT戦略はいかがでしょうか
安永●企業として当然の責務である地球環境保護について、これをビジネスに組み込むことに大きな意義があると考え、グリーンIT宣言をして積極的に取り組んでいます。地球環境の保護を口で訴えるのではなく、現実のビジネスの中で推進することによって、普及と継続が期待できます。エコロジーとエコノミーが同一の語源であるように、経済的な支えがなければ地球環境の保護も難しい。企業それぞれがビジネスの中でグリーンITを推進することが大切で、昨年の弊社のグリーンIT宣言は時宜を得たものとのご評価をいただいています。
――その効果についてはいかがですか。
安永●エコ商材は販売側にもユーザー側にもメリットが生じることが次第に理解されてきました。商品マスターにおいてもエコロジー仕様を追加するなど、細かい努力が実を結んできたようです。また「インテルvPro」搭載PCなどハードウエアやトナーカッターなどのソフトを販売する上で大切なことは、商品のエコロジー性をアピールするだけではなく、その利活用についても適切なアドバイスを行うことで、これが信頼と利益を生むことに繋がります。上述しましたがメーカーのテクノロジーとマーケットを繋ぐ役割、これが弊社の重要な役割なのです。
――今年度も「DISわぁるど」には力が入っていますね。
安永●「販売店様と仕入先と弊社が一体感であることを再確認する場」としての意味合いを持つ重要なイベントです。販売店やさらにはエンドユーザーとも普段は顔を合わせることが少ない私達にとって、直接顔を合わせてコミュニケーションができる格好の機会です。販売店様の多くは仕入先担当者との面識も薄いので、この機会に顔を合わせてコラボレーションすることは大きな意味があると思います。DISわぁるどによって販売店様、エンドユーザー、仕入先、そして弊社が繋がり全体のビジネスが拡大していく。それを提供できる重要な場として、継続していきます。昨年度は京都および立川で開催しましたが、来場者の評価は上々です。今年度は9月2日(水)・3日(木)に福島県郡山市、11月5日(木)・6日(金)に愛媛県松山市で、2日間開催する予定です。
――昨年からダイワボウとの経営統合が話題を集めました。
安永●ダイワボウグループ内における年商比率はDISが断然大きいわけですから、大きな責任を感じます。企業30年説から考えても、今回の経営統合は大きな区切りになると考えます。ダイワボウグループが新しいコア事業と位置づけるITインフラ流通事業の中核企業として、今まで以上に精度を高めたビジネスを推進する必要があると肝に銘じています。
――本日はどうもありがとうございました。
 
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